SELLING JOURNAL / 費用・税金
岡山市の空き家と固定資産税|管理不全空家・特定空家で住宅用地特例が外れる仕組み
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

住宅が建っている土地には固定資産税を軽くする住宅用地特例がありますが、管理が不十分な空き家が市町村から「管理不全空家等」や「特定空家等」として勧告を受けると、この特例が外れます。勧告の前には助言・指導の段階があります。ここでは一般情報として仕組みと岡山市の窓口を整理します。個別の税額は市税事務所や税理士へご確認ください。
住宅用地特例の仕組みと岡山市の税率
岡山市の公式サイトでは、居住用の家屋の敷地(住宅用地)について、税負担を軽くするための課税標準の特例が設けられていると案内されています。住宅用地のうち200平方メートル以下の部分は「小規模住宅用地」として課税標準額が評価額の6分の1に、それを超える部分は「一般住宅用地」として3分の1になります。同じ敷地に2戸以上の住宅がある場合は1戸につき200平方メートルまでが小規模住宅用地で、敷地が住宅の床面積の10倍を超えるときは10倍までが住宅用地とされます。
市内の固定資産税の税率は1.4%、賦課期日は毎年1月1日で、納期は原則として4月・7月・9月・12月の4期です。市街化区域内の土地・家屋には都市計画税(税率0.3%)もかかり、こちらも住宅用地は小規模部分が3分の1、一般部分が3分の2に軽減されます。誰も住まなくなった実家でも、家屋が建っていれば住宅用地として扱われていることが多く、この特例が土地の税負担を抑えています。
この記事は岡山市と国土交通省の公式ページを2026年10月時点で確認した一般情報です。税率や特例は改正されることがあるため、実際の税額は物件所在地の区の市税事務所や税理士に確認してください。
特例が外れると税額はどう変わるか(計算例)
仮に、市街化区域内にある敷地180平方メートルの空き家で、土地の評価額が1,200万円だったとします。敷地全体が小規模住宅用地なら、固定資産税の課税標準は1,200万円の6分の1で200万円、税額は1.4%を掛けて2万8,000円です。都市計画税は3分の1の400万円に0.3%で1万2,000円、合計で年4万円になります。
同じ土地で特例が外れ、評価額をそのまま課税標準にしたと単純に置き換えると、固定資産税は16万8,000円、都市計画税は3万6,000円で、合計20万4,000円です。実際には負担調整の措置などがあるため、この金額どおりに上がるとは限りませんが、特例がどれだけ大きな軽減になっているかの目安にはなります。
敷地が広い場合も考えてみます。仮に敷地300平方メートル・評価額1,800万円(1平方メートルあたり均一とする)なら、200平方メートル分の1,200万円は6分の1の200万円、残り100平方メートル分の600万円は3分の1の200万円で、固定資産税の課税標準は合計400万円、税額は5万6,000円です。いずれも端数処理や家屋分の税額を含まない概算の一般情報で、正確な額は毎年届く納税通知書の課税明細書で確認してください。
空家法の改正で「管理不全空家等」が加わった
国土交通省の資料によると、2015年に施行された空家法では、倒壊など保安上の危険や衛生上の問題、景観の悪化などで周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしている空き家を「特定空家等」とし、市町村が助言・指導、勧告、命令、代執行の措置をとれるようにしました。さらに2023年12月13日施行の改正空家法で、放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家を「管理不全空家等」として、市町村が指導・勧告できるようになりました。
この改正のポイントは、危ない状態になる前の段階から所有者に改善が求められるようになったことです。たとえば、雨どいが外れたまま、窓ガラスが割れたまま、庭木が伸び放題で隣地にはみ出している、といった状態が続くと、それだけで直ちに対象になるとは限りませんが、悪化すれば対象になり得ます。どの状態を管理不全空家等とするかの判断は市町村が基準を定めて行います。
国土交通省のページでは、令和8年9月3日に空家法の一部改正が施行され、同日付で基本指針や措置に関する指針、ガイドラインも改正されたと案内されています。運用の細部は変わることがあるため、最新の内容は国と市の公式情報で確認してください。
指導から勧告へ、特例が外れるタイミング
国土交通省の資料では、管理不全空家等に認定されると助言・指導があり、それに従わず勧告を受けた段階で、敷地の固定資産税の住宅用地特例が解除されると説明されています。状態がさらに悪化して特定空家等に認定されると、助言・指導、勧告(この段階でも特例は外れます)、命令、代執行へと進みます。特定空家等として命令を受けて従わない場合は、50万円以下の過料が科されるおそれがあるとされています。
つまり、特例が外れるきっかけは「認定」ではなく「勧告」です。勧告の前には助言・指導の段階が設けられているため、市から文書が届いた時点で動けば、特例を守れる可能性が残ります。逆に、文書を放置して勧告まで進むと、翌年度以降の税負担が重くなるうえ、後で触れるように市の除却補助の対象からも外れる場合があります。
文書が届いたら、①何が問題とされているか(屋根・外壁・樹木・ごみなど)、②いつまでに何を求められているか、③誰が所有者として扱われているかを確認し、担当課に改善の予定を伝えることが第一歩です。修繕するか、解体するか、売却するかの判断は、この段階で早めに始めるのが現実的です。
- 01管理不全空家等に認定
放置すれば特定空家等になるおそれがある状態
- 02助言・指導
市から文書などで改善を求められる段階
- 03勧告
この時点で敷地の住宅用地特例が外れる
- 04特定空家等に認定
状態がさらに悪化した場合
- 05助言・指導、勧告
勧告でやはり住宅用地特例が外れる
- 06命令・代執行
命令に従わないと50万円以下の過料のおそれ
岡山市の空き家対策と認定の運用
岡山市の公式サイトによると、市は平成28年1月に「岡山市空家等の適切な管理の促進に関する条例」を施行し、改正空家法の施行に伴って条例を改正しました。さらに令和7年4月には条例施行規則を改正し、管理不全空家等の認定基準を定めています。令和8年3月には第2期岡山市空家等対策計画も策定されています。
市の相談窓口のページでは、通報などを受けた場合に市が現地調査を行い、適切に管理されず周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空き家については、所有者等に文書で助言や指導を行うと案内されています。遠方に住んでいて家の様子が分からない所有者ほど、近隣からの通報で初めて状態を知ることになりがちです。
背景として、市の公式サイトでは平成30年の国の統計をもとに、市内の空き家は約5万3千戸、住宅総数に占める割合は14.4%で、全国平均などと比べても高い水準と紹介されています。同じページでは、空き家のうち管理や処分の方針が決まっていないものが約4割を占め、その3分の1以上は老朽化や破損がある物件だとも説明されています。方針を決めないまま年数がたつことが、指導や勧告につながる状態を生みやすいといえます。空き家の担当は都市整備局住宅・建築部建築指導課空家対策推進室で、市の「空き家に関する相談窓口について」のページに連絡先が載っています。倉敷市や瀬戸内市の物件は、それぞれの市の公式サイトで担当課と施策を確認してください。
解体するなら1月1日と届出の関係を押さえる
管理の負担を減らそうと家屋を解体すると、敷地は住宅用地ではなくなり、特例の対象から外れることがあります。固定資産税は毎年1月1日の状況と所有者で課税されるため、解体の時期と売却の見込み時期の組み合わせで負担が変わります。仮に12月中に解体を終えると、翌年度は更地として課税される可能性があり、1月2日以降に解体すれば、その年度は家屋がある前提で課税されると考えられます。売却が翌年度にずれ込みそうなら、解体の時期を急ぐかどうかを含めて検討する価値があります。
解体後の手続きについて、岡山市の公式サイトでは、登記されている家屋は法務局に滅失登記を申請し、未登記の家屋や滅失登記が遅れる場合は、各区の市税事務所・支所・地域センターに家屋滅失届を出すよう案内されています。また、住宅を取り壊して住宅用地が非住宅用地に変わったときは、住宅用地変更申告書の提出が求められています。
一方で、解体せずに傷んだまま残せば、管理不全空家等として勧告を受けるおそれがあります。解体費用、更地になった後の税額、買主が建物付きと更地のどちらを求めるかは物件ごとに違うため、税額は市税事務所や税理士に、登記は司法書士に確認しながら順番を決めましょう。
相続した空き家で先に済ませたい手続き
親が亡くなり実家が空き家になった場合、岡山市の公式サイトでは、まず法務局で相続登記を行うよう案内されています。令和6年4月1日から相続登記の申請は義務化されています。所有者が亡くなっておおむね3か月以内に登記が終わらない場合は、登記されるまでの間、現に所有している人(法定相続人など)が「現所有者に関する申告書」を、物件のある区の市税事務所に出す必要があります。申告をすると、その人が新たな納税義務者となり、納税通知書が届くようになります(共有の場合は代表者)。
名義が決まらないまま時間がたつと、市からの指導文書が誰に届くのか、誰が修繕や解体を決めるのかがあいまいになり、対応が遅れがちです。相続人が複数いる場合は、管理費や税金の負担割合も早めに話し合っておきましょう。
また、市の相談窓口のページでは、空き家の所有者や管理者には適切に管理する義務があり、空き家が原因で通行人などにけがを負わせた場合は、所有者や管理者が賠償責任を負うことになると、民法の条文を引いて注意を促しています。税金だけでなく、こうした責任も放置のコストです。相続や登記は一般情報の範囲を超えることが多いため、司法書士や税理士への相談をおすすめします。
市の補助制度と、勧告を受ける前に使う理由
岡山市では空家等適正管理支援事業として、空き家診断、リフォーム、除却、購入、家財等処分などの補助を設けています。たとえば除却の補助は、市内の特定空家等を対象に、市内の施工業者が行う解体工事などの費用の3分の1(上限60万円、千円未満切捨て)を補助するもので、令和8年度の申請受付は令和8年5月1日から12月18日まで、予算に達し次第終了と案内されています。事前予約のうえでの事前相談が必要とされ、施工業者へ直接支払う代理受領制度もあります。
注意したいのは、除却の補助も空き家診断の補助も、空家法に基づく勧告を受けた特定空家等は対象外とされている点です。勧告まで進んでしまうと、住宅用地特例が外れるうえに、補助も使えなくなる可能性があります。
空き家診断の補助では、昭和56年5月31日以前に着工した木造の一戸建てなどを対象に、耐震診断(200平方メートル以下は一般診断8万円の定額など)や劣化診断(6万円の定額)の費用が補助されます。売却前に建物の状態を把握する材料にもなるため、使える条件か市の窓口で確認してみてください。補助の条件や受付期間は年度ごとに変わるため、必ず最新の募集要項で確認が必要です。
売却を選ぶときの進め方
管理を続けるのが難しい場合、売却は税負担と管理責任の両方から離れる方法の一つです。進め方の目安は次のとおりです。①相続登記を済ませ、売主となる人を決める、②市から文書が届いている場合は内容を確認し、担当課に改善や売却の予定を伝える、③査定を受け、建物付きで売るか、解体して更地で売るかの見込みを比べる、④解体する場合は1月1日をまたぐかどうかと補助の受付期間を確認する、⑤売買契約、引渡し後に必要な届出を済ませる。
相続した空き家の売却では、一定の要件を満たすと譲渡所得から3,000万円を控除できる特例もあります。岡山市の公式サイトでは、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日(かつ令和9年12月31日)までの譲渡が対象で、昭和56年5月31日以前に建築された家屋などが要件とされ、令和6年1月1日以降の譲渡で相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円になると案内されています。適用には市が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」と確定申告が必要です。
特例が使えるかどうかで手取りが大きく変わることがあるため、要件は税務署や税理士に確認したうえで、売り出しの時期を決めることをおすすめします。
- 相続登記が済み、売主となる人が決まっている
- 納税通知書の課税明細書で、住宅用地として課税されているか確認した
- 市から指導などの文書が届いていないか、届いていれば内容を確認した
- 屋根・外壁・樹木・ごみなど、近隣に影響しそうな箇所を把握した
- 解体する場合、1月1日をまたぐかどうかと税額の変化を確認した
- 除却や空き家診断の補助の対象と受付期間を市の窓口で確認した
- 3,000万円特別控除の要件を税務署や税理士に確認した
- 建物付きと更地で、売却の見込みを査定で比べた
トリプルギブへのご相談
株式会社トリプルギブは、岡山市南区福吉町を拠点に、岡山市・倉敷市・瀬戸内市を中心とした不動産の売却相談に対応しています。管理が難しくなった空き家について、ご相談後は物件の調査をもとに根拠のある査定を提出し、売却方針を明確にしたうえで仲介か買取かを確定します。建物を残して売るか、解体してから売るかといった選択肢も、接道や道路の状況、買主の見込みとあわせて一緒に整理します。
固定資産税や譲渡所得の税金の判断は税理士、相続登記は司法書士の領域となるため、必要に応じて専門家への相談をおすすめしながら進めます。市から指導の文書が届いている場合は、その内容もお持ちいただくと話が早く進みます。あわせて、固定資産税の納税通知書と課税明細書、登記事項証明書や権利証、購入時や建築時の契約書が手元にあれば、査定や税金の見通しを立てる材料になります。対応できるかどうかは物件ごとに判断しますので、まずは状況をお聞かせください。
よくある質問
Q. 空き家でも、家が建っていれば住宅用地特例は続きますか?
岡山市の案内では、住宅用地は居住用の家屋の敷地とされており、空き家であっても家屋が建っていれば住宅用地として扱われていることが多いのが実情です。ただし、管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると特例は外れます。また、家屋が住宅として使えない状態かどうかなど個別の判断が関わることもあるため、気になる場合は物件のある区の市税事務所に確認してください。
Q. 勧告を受けた後に改善したら、特例は元に戻りますか?
今回確認した国土交通省の資料と岡山市のページには、勧告後に改善した場合の特例の扱いについて具体的な記載がありませんでした。一般的には状態の改善と市の確認が前提になると考えられますが、時期や手続きは自治体の判断によります。勧告を受けた場合は、建築指導課空家対策推進室と市税事務所の両方に、何をすれば扱いが変わるのかを直接確認するのが確実です。
Q. 遠方に住んでいて家の状態が分かりません。どうすればいいですか?
まずは現地の状態を把握することが出発点です。岡山市は空家等管理活用支援法人を指定しており、市の相談窓口のページで空き家管理や売却・活用、相続手続などの相談先が紹介されています。市の空き家診断の補助も、耐震性や劣化の状態を知る手段になります。状態が分かれば、修繕、解体、売却のどれが現実的かを比べやすくなります。
Q. 固定資産税の納税通知書は、相続人の誰に届きますか?
岡山市の案内では、所有者が亡くなっておおむね3か月以内に相続登記が終わらない場合、現に所有している人が「現所有者に関する申告書」を区の市税事務所に出し、その人が新たな納税義務者になります。共有の場合は代表者に送付されます。登記や申告が済まないうちは、誰が窓口になるかを相続人の間で決めておくと、市からの連絡にも対応しやすくなります。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
あわせて読みたい
編集方針:確認できる事実と一般的な判断のポイントを区別し、価格・期間・検索順位を保証する表現は用いません。
岡山の不動産売却相談