SELLING JOURNAL / 地域
倉敷市で不動産を売る前の確認|岡山県倉敷の水害・盛土・都市計画を国の地図で調べる
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

倉敷市で売るときは、国のハザードマップポータルサイトで洪水・内水・土砂・高潮・津波の想定を、不動産情報ライブラリで用途地域や盛土造成地などを確かめ、登記を岡山地方法務局倉敷支局の管轄分として取り寄せたうえで、倉敷市の公式サイトで最新のハザードマップと道路・都市計画を確認する流れがおすすめです。
倉敷市で扱ってきた物件と、この記事の前提
トリプルギブは岡山市南区を拠点にしていますが、倉敷市も得意地域の一つです。公式CASEには倉敷市の取引として、松島の新築15戸アパート、中島のテナントビル、片島のアパート用地、林の住宅用分譲地10区画を掲載しています。住宅だけでなく、収益物件や建物を建てる前提の土地、まとまった区画の分譲地まで種類が分かれているのが、倉敷市での掲載実績の特徴です。
物件の種類が違えば、買主が気にする点も変わります。アパートやテナントビルなら入居状況や修繕の記録、アパート用地や分譲地なら用途の制限や道路、造成の経緯、住宅なら水害の想定と建物の状態が中心になります。ただし、どの物件にも対応できるわけではなく、対応の可否は物件ごとに判断します。
この記事では価格や売却期間には触れません。倉敷市の物件を売る前に、国の公式サービスで誰でも確かめられることと、倉敷市の公式サイトや窓口で確認してほしいことを分けて整理し、最後に売り出し前の手順をチェックリストにまとめます。
真備の豪雨を踏まえ、買主は水害の情報を確かめる
平成30年7月の豪雨では、倉敷市真備町で高梁川水系小田川の堤防が決壊しました。国土交通省の発表では、小田川の決壊は左岸の2か所とされています。中国地方整備局の岡山河川事務所のページによると、多いところでは降り始めからの累加雨量が400mmを超え、高梁川と小田川の複数の地点で観測史上最高の水位を記録し、浸水深は最大で約5mに達したと推定されています。
その後、国は真備緊急治水対策プロジェクトとして、小田川の合流点付替え事業の完成前倒しや、小田川と県管理の3河川(末政川、高馬川、真谷川)の堤防の嵩上げ・強化、河道の掘削を進めてきました。プロジェクトはおおむね2023年度を目標とした計画として示されています。
売主として押さえたいのは、こうした経緯から、倉敷市で物件を探す人の多くが水害の情報を気にしているという点です。対策が進んだ地域であっても、買主は地図上の浸水想定を自分で確かめます。真備に限らず、川や海に近い場所の物件では、売り出しの前に売主の側で想定を把握しておくと、問い合わせへの答えに迷わずに済みます。
なお、治水対策の計画や進み具合は、国の河川事務所のページで公表されています。買主から「工事はどうなったのか」と聞かれる場面もあり得るため、売主としても公表されている内容に一度目を通し、分からない点は推測で答えず、公式の情報を案内するようにしてください。
国のハザードマップポータルで4種類の想定を確かめる
国土地理院のハザードマップポータルサイトには、2つの機能があります。重ねるハザードマップは、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報や道路防災情報、土地の特徴や成り立ちを地図や写真に重ねて表示できるもので、住所や現在地から調べられます。わがまちハザードマップは、市町村が法令に基づいて作成・公開したハザードマップへのリンク集で、倉敷市のマップもここからたどれます。
使い方の手順は、①重ねるハザードマップで物件の住所を入力する、②洪水・内水、土砂災害、高潮、津波を一つずつ切り替えて表示する、③想定がある場合は色の区分と凡例を見て、浸水の深さの目安や区域の種類をメモする、④画面を保存しておく、⑤わがまちハザードマップから倉敷市の最新のマップを開き、同じ場所の表示を見比べる、という流れです。
仮に、洪水の想定では色が付いているのに、高潮や津波では何も表示されない住宅があったとします。この場合、「水害の想定がある」と一言でまとめず、どの種類の想定で、どの程度の深さが示されているかを分けて記録しておくと、不動産会社や買主への説明が正確になります。
重要事項説明で示される水害の地図と、売主の準備
国土交通省の発表によると、令和2年8月28日から、不動産会社は売買などの重要事項説明で、水防法に基づく洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップを示し、対象物件のおおよその位置を説明することが義務になっています。使う地図は、市町村が配布する印刷物か、市町村のホームページに掲載されているものを印刷したもので、入手できる最新のものとされています。
あわせて、物件が浸水想定区域に入っていないことをもって、水害のリスクがないと相手が誤解しないよう配慮することも求められています。ハザードマップに載っている避難所の位置も一緒に示すことが望ましいとされています。
売主の準備としては、①最新のマップでの物件の位置を事前に見ておく、②過去に敷地や床下、駐車場に水が入ったことがあれば、時期と程度を書き出す、③修繕や排水の改善をしていれば、その記録をそろえる、の3つが役に立ちます。仮に、想定区域の外にある家でも、大雨の際に庭に水がたまったことがあるなら、その事実は早めに不動産会社に伝えてください。説明の内容をどうまとめるかは、相談しながら決められます。
- 01住所で検索
重ねるハザードマップに物件の住所を入れる
- 02種類ごとに表示
洪水・内水、土砂災害、高潮、津波を切り替える
- 03記録
想定の有無と深さの目安をメモし、画面を保存する
- 04市のマップと照合
わがまちハザードマップから倉敷市の最新版を開く
- 05経験を書き出す
過去の浸水や雨水のたまり方、修繕の記録をまとめる
- 06相談
不動産会社に伝え、重要事項説明での示し方をすり合わせる
不動産情報ライブラリで都市計画と土地の成り立ちを見る
国土交通省の不動産情報ライブラリは、価格、地形、防災、都市計画、周辺施設などの情報を地図に重ねて表示できるサービスです。都市計画情報としては、用途地域、都市計画区域と区域区分、立地適正化計画、防火・準防火地域、都市計画道路、高度利用地区、地区計画を表示できます。
片島のようなアパート用地や、林のようなまとまった分譲地を想定すると分かりやすいのですが、買主が建物を建てる前提の土地では、市街化区域か市街化調整区域か、どの用途地域か、近くに都市計画道路の予定がないかが、取引の前提になります。調整区域であれば、建築や開発に許可が必要になる場合があるため、買主が予定する使い方ができるかどうかを先に確かめておく必要があります。
防災情報としては、洪水浸水想定区域(想定最大規模)、土砂災害警戒区域、津波浸水想定、高潮浸水想定区域、急傾斜地崩壊危険区域、地すべり防止地区、災害履歴も重ねて見られます。ただし、これらは参考情報です。建築の可否や用途の制限、区域の最新の指定状況は、倉敷市の公式サイトや都市計画・建築の担当窓口で必ず確認してください。
仮に、市街化区域の第一種住居地域にある土地をアパート用地として売り出す場合でも、前面の道路の幅や建ぺい率・容積率によって建てられる規模が変わります。地図で見た用途地域の名前だけで判断せず、数値の制限まで確かめてから買主に示すのが安全です。
造成地や盛土のある土地は、地形の情報と規制を確かめる
分譲地や、もとは田畑・山林だった場所を造成した土地を売る場合は、土地の成り立ちも確かめておきたい点です。不動産情報ライブラリでは、地形情報として陰影起伏図、土地条件図、大規模盛土造成地マップを、防災情報として地形区分に基づく液状化の発生傾向図を表示できます。国のハザードマップポータルの重ねるハザードマップでも、土地の特徴や成り立ちを重ねて見られます。
国土交通省によると、盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)は令和5年5月26日に施行され、宅地・農地・森林など土地の用途を問わず、一定規模以上の盛土などを規制しています。規制区域には宅地造成等工事規制区域と特定盛土等規制区域があり、都道府県知事、指定都市の長、中核市の長が指定します。盛土などが行われた土地について、土地所有者等が安全な状態に維持する責務を持つことも明確にされました。
仮に、親から引き継いだ土地に昔の造成の記録が残っていない場合でも、地図で大規模盛土造成地に当たるかを見ておき、分かる範囲で造成の時期や擁壁の有無をメモしておくと、買主や不動産会社とのやり取りが進めやすくなります。物件の場所が規制区域に入っているかは、倉敷市の公式サイトで確認してください。
登記事項証明書と公図は倉敷支局の管轄分として取り寄せる
売却の準備では、登記事項証明書で所有者や面積、抵当権の有無を確かめることが出発点になります。岡山地方法務局の登記管轄一覧では、倉敷市の不動産登記は倉敷支局の管轄とされ、同じ支局が総社市と早島町も担当しています。
証明書は、法務局のオンライン請求(かんたん登記・供託申請)を使えば、申請者情報を登録してからログインして手続きでき、所要時間は約10分程度と案内されています。受け取りは郵送か、指定した登記所の窓口を選べます。窓口で受け取る場合は電子納付情報の画面を印刷して持参する必要があり、収入印紙で手数料を納めることはできないとされています。手数料の額は請求の前に法務局の案内で確認してください。
取り寄せたいのは、土地と建物の登記事項証明書、地図(公図)や地積測量図です。アパートやテナントビルなら、あわせて賃貸借契約書、入居者の一覧、修繕や設備交換の記録、固定資産税の通知書もそろえます。名義が亡くなった方のままになっている場合や、抵当権が残っている場合、この記事は一般情報ですので、手続きは司法書士に、ローンの残高や抹消の段取りは借入先の金融機関に確認してください。
取引価格の情報は目安として読み、物件の条件と分けて考える
不動産情報ライブラリには、地価公示、都道府県地価調査、不動産取引価格情報、成約価格情報も掲載されています。売主としては、近い場所でどのような取引があったかを知る手がかりになります。
ただ、土地の形や道路との接し方、建物の状態、賃貸中かどうかで価格は大きく変わるため、近くの事例をそのまま自分の物件に当てはめることはできません。仮に、同じ町内で同じくらいの広さの土地の取引が見つかったとしても、一方は幅の広い道路に面した整形地、もう一方は細い道の奥の旗竿地であれば、比べる意味は薄くなります。前面の道路が建築基準法上の道路かどうかで、建て替えができるかどうかも変わります。
収益物件ではさらに条件が増えます。仮に、松島のアパートのような戸数のある物件を想定すると、満室か空室が多いか、賃料の水準、大規模修繕の時期によって、買主の見方は大きく違ってきます。周辺の数字は目安にとどめ、物件そのものの資料と現地の調査をあわせて判断してください。
中島のテナントビルのような事業用の建物も同じで、テナントの業種や契約の残り期間、設備の状態が評価に影響します。公的な価格情報は、地域の傾向をつかむための入口として使い、最終的な売り出し価格は、こうした個別の条件を織り込んだ査定をもとに決めていくのが現実的です。
売り出し前に済ませたい確認の手順と、市の公式サイトで見ること
ここまでの内容を手順として並べ直します。①登記事項証明書と公図を取り寄せ、所在地・地番・面積と名義を確かめる。②重ねるハザードマップで、洪水・内水、土砂災害、高潮、津波を同じ住所で切り替えて見て、画面を保存する。③わがまちハザードマップから倉敷市の最新のマップを開き、表示を見比べる。④過去の浸水や雨水のたまり方を書き出す。⑤不動産情報ライブラリで、用途地域、区域区分、都市計画道路、大規模盛土造成地を確かめる。⑥賃貸中なら契約書や修繕記録をそろえる。
国のサービスで分かるのは大まかな情報です。そのうえで、倉敷市の公式サイトや担当窓口では、市が公開している最新の洪水・内水・高潮・土砂災害のハザードマップ、用途地域や区域区分の内容と調整区域での建築・開発の許可の考え方、前面の道が建築基準法上の道路か、市道として認定されているか、盛土の規制区域の指定状況、空き家を売る場合に使える市の制度の有無を確認してください。
制度の内容や受付期間は年度ごとに変わることがあるため、ページの更新日も確かめます。窓口に問い合わせる際は、所在地と地番、公図の写しを手元に用意しておくと話が早く進みます。②⑤は自宅で先に済ませ、分からなかった点だけを窓口や不動産会社に持ち込むと効率的です。
- 倉敷支局の管轄分として登記事項証明書と公図を取り寄せた
- 洪水・内水、土砂災害、高潮、津波の想定を同じ住所で見て記録した
- 倉敷市の最新のハザードマップで物件の位置を確かめた
- 過去の浸水や雨水のたまり方を時期と程度で書き出した
- 用途地域、区域区分、都市計画道路の有無を確かめた
- 大規模盛土造成地や盛土の規制区域に当たるかを確かめた
- 前面の道が建築基準法上の道路かを市の窓口で確かめた
- 賃貸中なら契約書、入居者の一覧、修繕記録をそろえた
トリプルギブへのご相談
倉敷市の物件は、場所によって水害の想定や都市計画、造成の経緯が違い、アパートやテナントビル、事業用地では見るべき書類も増えます。トリプルギブでは、ご相談をいただいたあと、こうした公的な情報と現地の調査をもとに根拠のある査定をお出しし、売却の方針を明確にしたうえで、仲介にするか買取にするかを決めていきます。
対応できるかどうかは物件ごとに判断しますので、まずは所在地、物件の種類、賃貸中かどうか、ここまでの確認で分かったことをお知らせください。調べきれなかった項目があっても構いません。ハザードマップの画面を保存したもの、浸水の出来事のメモ、登記事項証明書や納税通知書の写しがあれば、最初の打ち合わせで確認できる範囲が広がります。岡山県内のほかの地域とあわせて複数の物件をお持ちの場合も、まとめてご相談いただけます。
この記事は一般情報です。ローンの残っている物件は借入先の金融機関に、売却に伴う税金の扱いは税理士に、名義の変更などの登記は司法書士にもあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. 治水工事が進んだ地域の物件なら、昔の浸水のことは伝えなくてもよいですか?
工事が進んだかどうかと、過去にその物件で起きた出来事は別の話です。重要事項説明では最新のハザードマップで位置を示しますが、実際に水が入った経験は地図だけでは分かりません。時期と程度、その後の修繕の内容を整理して不動産会社に伝え、買主への伝え方を相談してください。伝え方に迷う点は、取引の担当者と事前にすり合わせておくと安心です。
Q. 重ねるハザードマップと倉敷市のハザードマップで表示が違うときは、どちらを見ればよいですか?
重要事項説明では、市町村が配布・公開している入手可能な最新のマップを使うことになっています。売主としては市の最新のマップを基準にし、国のサイトとの違いに気づいたら、その画面を保存して不動産会社に伝えてください。地図は更新されることがあるため、売り出し前と契約前の2回見ておくと、説明の食い違いを防げます。
Q. 倉敷市の物件の登記事項証明書は、岡山市の法務局でも取れますか?
法務局はオンライン請求の仕組みを用意しており、受け取りは郵送か、指定した登記所の窓口を選べます。窓口で直接請求する場合の取り扱いや手数料は、事前に法務局の案内で確かめてください。倉敷市の物件は倉敷支局の管轄なので、地図や地積測量図の有無など、管轄に関わる問い合わせは倉敷支局にすると話が早いです。
Q. アパートを入居者がいるまま売ることはできますか?
賃貸中のまま売り出すこと自体は可能で、その場合は賃貸借契約を引き継ぐ前提で買主が検討します。買主は賃料や契約期間、敷金の扱い、修繕の履歴を確かめるため、契約書と入居者の一覧、修繕記録をそろえておくことが大切です。退去を求めるかどうかは契約内容によって扱いが変わるため、迷う場合は弁護士などの専門家にも確認してください。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
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