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SELLING JOURNAL / 地域

岡山市南区で不動産を売る前の確認|高潮・内水・津波の地図と区域区分・道路の調べ方

この記事の確認者

代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

岡山市南区当新田の住宅用分譲地5区画
写真:岡山市南区当新田 住宅用分譲地5区画(公式サイト掲載の取引実績)
まず、ここから

南区で売るときは、市の高潮・洪水・内水・津波のハザードマップで物件の位置を確かめ、市街化区域か市街化調整区域か、前面の道が建築基準法上の道路かを先に調べておくと、買主への説明や価格の検討がぶれにくくなります。空き家なら市の情報バンクと家財処分の補助も確認しておきましょう。

南区で扱ってきた物件の幅と、この記事の前提

トリプルギブは岡山市南区福吉町を拠点にしています。公式CASEには南区の取引として、妹尾の住宅用分譲地と物流企業用地、福富中の建売住宅と中古戸建て、福富東の分譲地、福富西の新築8戸アパート、当新田の建売住宅・中古住宅・5区画の分譲地、新保の建売住宅と分譲地、福浜町の店舗用地、北浦の事業用地を掲載しています。

住宅だけでなく、アパートや店舗・物流向けの土地まで種類が分かれていることが、掲載実績からも分かります。物件の種類が違えば、買主が気にする点も変わります。住宅なら水害の想定と前面の道、事業用地なら建てられる建物の種類と開発の手続きが主な論点になります。

この記事では価格や売却期間には触れません。南区の物件を売る前に、市の公式サイトや窓口で売主自身が確認できることを、水害、区域区分、道路、空き家の順に整理します。最後に、売り出し前に済ませておきたい確認の手順をチェックリストにまとめています。

なお、同じ区内でも、海に近い地域と内陸の地域、住宅地と田畑が広がる地域とでは、確認すべき地図や制度の重みが違います。自分の物件に関係する部分から読み進めていただいて構いません。

なぜ売主が水害の地図を先に見ておくべきか

国土交通省の発表によると、令和2年8月28日から、不動産会社が売買や賃貸の重要事項説明をする際、水防法に基づく洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップを示し、対象物件のおおよその位置を説明することが義務になりました。つまり南区の物件を買う人は、契約前にこれらの地図で物件の位置を見せられます。

売主にとって大切なのは、この説明を「契約直前に初めて知る」状態を避けることです。仮に、買主が内覧の段階では気にしていなかったのに、重要事項説明で高潮の浸水想定区域に入っていると知った場合、そこで検討が止まったり、条件の見直しを求められたりすることがあります。先に売主側で地図を確認し、浸水の想定があるならその事実を前提に売り出し価格や説明の仕方を決めておけば、話が後から崩れにくくなります。

浸水の想定区域に入っていても売れないわけではありません。大切なのは、想定の有無と程度を正確に把握し、隠さず伝えることです。次の節で見るとおり、南区には高潮の浸水想定がある地域が8つあり、津波の地図も区内の各地域を対象にしているため、高潮・洪水・内水・津波の4つの地図を見比べる意味が大きい区です。

高潮の浸水想定がある8つの地域

市の高潮ハザードマップ(2025年7月7日更新のページ)は、平成16年台風第16号の規模に基づく想定と、想定最大規模の2種類の浸水想定をもとに作られています。南区で浸水が想定される地域として掲載されているのは、浦安、甲浦、小串、南輝、平福、福島、福浜、芳泉の8地域です。

市のページには、高潮ハザードマップは浸水の想定がある地域についてのみ作成していると書かれています。そのため、物件の住所がこの8地域に含まれるかどうかが、まず最初の確認点になります。地図は区別のPDF版(南区は2つのファイル)と、市のWEB版ハザードマップの両方で見られます。

確認するときは、2種類の想定のどちらで、どの程度の深さが示されているかを分けてメモしておくと、不動産会社との打ち合わせがスムーズです。仮に、平成16年台風規模の想定では色が付いていないが、想定最大規模では浸水が示されている、という結果だった場合、買主への説明では両方の想定があることを伝える必要があります。どちらか一方だけを伝えるのは避けてください。

洪水と津波の地図は、南区が3〜4面に分かれている

市の洪水・土砂災害ハザードマップは、市内を流れる複数の河川の浸水想定を重ね合わせ、最も大きい値を示したものです。PDF版は19の地図面に分かれており、南区の地域は、第16面(芳明、芳田、芳泉、福浜、平福、福島、南輝、浦安、第三藤田)、第17面(福田、妹尾、箕島、東畦、興除、曽根、第一藤田、第二藤田)、第18面(灘崎、七区、彦崎)に掲載されています。

津波ハザードマップは南海トラフの地震を想定したもので、PDF版の第4面から第7面が南区の各地域にあたり、第7面は甲浦と小串地域を対象にしています。

注意したいのは、どちらのPDFも令和3年作成分で、最新の想定はWEB版ハザードマップで確認するよう市のページに書かれている点です。洪水については、最新の浸水想定を反映したPDFが令和9年3月に完成予定とされています(2026年8月20日更新のページで確認)。売却の検討中に地図が新しくなることもあるため、売り出し前と契約前の2回、WEB版で同じ住所を見直しておくと安心です。WEB版では洪水・土砂、高潮、地震、津波の4種類を切り替えて確認できます。

南区で確認したい水害の地図の比較
地図南区での見どころ確認の方法
高潮浦安・甲浦・小串・南輝・平福・福島・福浜・芳泉の8地域に想定あり区別PDF(2ファイル)またはWEB版
洪水・土砂複数河川の想定を重ねた最大値。南区は第16〜18面PDFは令和3年作成。最新はWEB版
津波南海トラフの地震を想定。南区は第4〜7面PDFは令和3年作成。最新はWEB版
内水下水道管や水路からの浸水。南区は22学区分小学校区別PDFまたは市の地図情報
2026年10月4日時点の市の公式ページで確認した内容です。地図は更新されることがあるため、売り出し前と契約前に見直してください。

内水(雨水出水)は小学校区ごとの地図で見る

内水とは、大雨のときに下水道管や水路から水があふれて起きる浸水のことで、川の氾濫とは別に考えます。市は、これまで被害の大きかった降雨をもとにシミュレーションした内水の浸水想定を、小学校区別のPDF地図、説明資料、市の地図情報(GIS)の形で公開しています。南区では浦安、興除、甲浦、小串、妹尾、曽根、第一藤田、第二藤田、第三藤田、灘崎、七区、南輝、東畦、彦崎、平福、福島、福田、福浜、芳泉、芳明、箕島、芳田の22学区分が用意されています。

市のページには、想定区域は詳細な位置の浸水を特定するものではなく、実際の状況と異なる場合があること、局所的な集中豪雨が増えているため掲載区域外でも備えが必要なことが書かれています。地図だけでは分からない部分があるということです。

そこで売主としては、地図の結果に加えて、実際に敷地や床下に水が入ったことがあるか、側溝や水路があふれて車を移動したことがあるか、を時期とあわせて思い出し、メモにしておくことが大切です。仮に「数年前の大雨で駐車場まで水が来たが、床下には入らなかった」という程度の出来事でも、買主にとっては判断材料になります。分かっている事実は早めに不動産会社へ伝えてください。

事業用地や郊外の土地は区域区分と開発許可を先に見る

市の都市計画区域は、市街化を進める市街化区域と、市街化を抑える市街化調整区域に分けられています。市のページでは、令和4年11月30日現在で市街化区域が10,416ha、市街化調整区域が48,184haとされ、調整区域では開発許可制度によって開発が規制されると説明されています。南区の物件がどちらに入っているか、用途地域や建ぺい率・容積率がどうなっているかは、市のWeb都市計画情報システムで確かめられます。

開発指導課は、市街化区域では1000平方メートル以上の開発行為、調整区域では原則としてすべての開発行為を許可の対象として扱い、調整区域で建物を建てる際の建築許可も担当しています。相談は本庁舎6階の窓口のみで、電話やメールでは受け付けていません。窓口には位置図や公図など、土地の場所と状況が分かる資料を持参します。

仮に、調整区域にある田畑に囲まれた土地を、買主が倉庫を建てる目的で検討している場面を考えます。この場合、買主が予定する建物が許可の対象になるかどうかが取引の前提になり、見込みが立たなければ話が進みません。南区の公式CASEにも物流企業用地や店舗用地、事業用地の掲載がありますが、こうした土地ほど、区域区分と用途の確認を売り出し前に済ませておくことが大切です。

前面の道路が建築基準法上の道路かを確かめる

建物を建て替えられるかどうかは、敷地が建築基準法上の道路に接しているかで左右されます。市では、道路の種別を建築指導課の窓口(本庁舎6階)か市の地図情報で確認でき、地図情報での公開は2024年4月1日から始まっています。建築指導課も電話・FAX・メールでの相談は受け付けておらず、窓口での確認になります。なお、道の幅や公道か私道かは、それぞれの道路管理者や法務局に確認するよう案内されています。市道かどうかは、地図情報の認定路線網図で調べられます。

幅4メートル未満の道でも、基準時に建物が立ち並んでいたなどの条件で指定された道は、建築基準法第42条第2項の道路として扱われます。市のページでは、原則として基準時の道の中心線から水平距離2mの線を道路の境界線とみなすとされ、水路がある場合などは扱いが異なります。

仮に、幅3.6mの2項道路に間口8mで面している敷地で、中心線が今の道の真ん中にある場合、敷地側は中心線から1.8mなので0.2mの後退が必要になり、0.2m×8mで約1.6平方メートルが道路とみなされる部分になります。基準時の中心線は今の道の真ん中とは限らないため、実際の距離は窓口で確認してください。後退が必要なら、その分を前提に面積や価格を考えます。

空き家を売るなら情報バンクと家財処分の補助を確認

空き家を売る場合、市の空き家情報バンクも選択肢になります。登録できるのは、今空き家であるか空き家になる予定で、農地法・建築基準法・都市計画法などの法令に適合し、登録の時点でまだ不動産会社と媒介契約を結んでいない物件です。手順は、①申請書(様式第1号)と承諾書(様式第2号)を用意する、②物件を扱う宅建業者を1社選んで媒介契約を結ぶ、③市と業者が写真撮影を含む現地確認をする、④登録の通知を受ける、⑤市のサイトに掲載される、という流れです。市は情報発信のみで、交渉には直接関わりません。窓口は建築指導課の空家対策推進室です。

情報バンクに登録した空き家は、家財等の処分と運搬の費用について、事業費の2分の1(千円未満切り捨て、上限20万円)の補助の対象になり得ます。市税の滞納がないことなどが要件で、処分は市内で許可を受けた一般廃棄物の収集運搬業者に依頼します。令和8年度の受付は2026年5月1日から12月18日までで、予算に達すると終了します。事前相談、申請、交付決定を経てから業者に依頼し、完了報告は2027年2月12日までに出す流れです。

仮に処分費用が33万5千円なら、2分の1は16万7,500円で、千円未満を切り捨てて16万7千円が補助額の目安になります。50万円なら2分の1は25万円ですが、上限の20万円までです。交付決定前に依頼した分は対象外になり得るため、順番を守ってください。

売り出し前に済ませたい確認の手順

ここまでの内容を、売り出しまでの手順として並べ直します。①登記事項証明書や固定資産税の通知書で、所在地と地番、面積を確かめる。②WEB版ハザードマップで、洪水・土砂、高潮、津波を同じ住所で切り替えて見て、結果を画面の保存やメモで残す。③小学校区別の内水の地図で、浸水想定の有無を見る。④過去に敷地や床下に水が入ったことがあるか、時期と程度を書き出す。⑤Web都市計画情報システムで、市街化区域か調整区域か、用途地域、建ぺい率・容積率を確かめる。⑥地図情報で道路の種別と市道かどうかを見て、分からなければ本庁舎6階の窓口で確認する。⑦空き家なら、情報バンクへの登録と家財処分の補助を使うか決める。

価格の参考としては、国土交通省の不動産情報ライブラリで、周辺の取引価格・成約価格や地価公示のほか、防災情報や都市計画情報も地図上で確認できます。ただし、ここに出ている価格は個別の物件の条件を反映したものではありません。周辺の数字はあくまで目安にとどめ、物件の状態や道路、水害の想定を踏まえた査定とあわせて考えてください。

①〜⑦は1日ですべて終える必要はありません。窓口での確認は平日の日中になるため、②〜⑤を自宅で先に済ませ、分からなかった点だけを窓口や不動産会社に持ち込むと効率的です。

南区で売り出す前のチェックリスト
  • 登記事項証明書や納税通知書で所在地・地番・面積を確かめた
  • WEB版ハザードマップで洪水・土砂、高潮、津波を同じ住所で見て記録した
  • 小学校区別の内水の地図で浸水想定の有無を見た
  • 過去に敷地や床下へ水が入ったことの有無と時期を書き出した
  • 市街化区域か市街化調整区域か、用途地域と建ぺい率・容積率を確かめた
  • 前面の道が建築基準法上の道路か、2項道路で後退が必要かを確かめた
  • 空き家の場合、情報バンクと家財処分の補助を使うか決めた

トリプルギブへのご相談

南区の物件は、同じ区内でも高潮や内水、津波の想定、区域区分、道路の状況が一つずつ違います。トリプルギブでは、ご相談をいただいたあと、こうした公的な情報と現地の調査をもとに根拠のある査定をお出しし、売却の方針を明確にしたうえで、仲介にするか買取にするかを決めていきます。

住宅、アパート、事業用地のどれでも、対応できるかどうかは物件ごとに判断しますので、まずは所在地と現在の使い方、ここまでの確認で分かったことをお知らせください。調べきれなかった項目があっても構いません。ハザードマップの画面を保存したもの、浸水や排水の出来事のメモ、登記事項証明書や納税通知書の写しなどがあれば、最初の打ち合わせで確認できる範囲が広がります。お手元にない資料は、取り寄せ方も含めてご案内します。

相続した物件で名義や税金が気になる場合、この記事の内容は一般情報ですので、登記は司法書士、税金は税理士への確認もあわせてお願いします。

よくある質問

Q. 高潮の地図に自宅の地域が載っていない場合、高潮の心配はないと考えてよいですか?

市のページでは、高潮ハザードマップは浸水の想定がある地域についてのみ作成していると説明されています。地図がない地域は、その想定の範囲では浸水が示されていないということです。ただし洪水・内水・津波は別の地図で想定されているため、高潮だけで判断せず、WEB版で他の種類も同じ住所で確認してください。

Q. PDFの地図とWEB版で表示が違うときは、どちらを買主に伝えればよいですか?

洪水や津波のPDFは令和3年作成分で、市は最新の想定をWEB版で確認するよう案内しています。売主としては最新のWEB版を基準にしつつ、表示が違うことに気づいたら不動産会社に伝え、重要事項説明でどの地図を示すかをすり合わせておくと、説明の食い違いを防げます。

Q. 空き家情報バンクに登録した後、ほかの不動産会社にも売却を頼めますか?

情報バンクは、所有者が選んだ宅建業者1社と媒介契約を結んで登録する仕組みで、登録時点でほかの会社と媒介契約を結んでいないことが条件です。登録後の契約の扱いや変更については、市の空家対策推進室と依頼する会社に事前に確認してください。

Q. 市街化調整区域の土地でも、売ることはできますか?

売買そのものは可能です。ただ調整区域では開発や建築に許可が必要になるため、買主が予定する使い方ができるかどうかが取引の前提になります。現在建っている建物の経緯や、これまでの許可の有無が分かる資料があれば手元にそろえ、本庁舎6階の開発指導課の窓口で見通しを確認しておくと話が進めやすくなります。

この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。

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編集方針:確認できる事実と一般的な判断のポイントを区別し、価格・期間・検索順位を保証する表現は用いません。

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