SELLING JOURNAL / 地域
瀬戸内市で不動産を売る前の確認|岡山県瀬戸内の空き家バンク・補助・農地と防災マップ
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士
瀬戸内市は現在、都市計画区域がなく、導入に向けた準備が進んでいる段階です。売る前に長船町・邑久町・牛窓町の地区別ハザードマップで位置を確かめ、空き家なら空き家バンクの流れと、所有者が使える片付けや解体の補助、農地付きなら農業委員会の許可の要否を先に確認しておくと進めやすくなります。
瀬戸内市の物件を売る前に、この記事の前提
トリプルギブは岡山市南区を拠点に、岡山市全域・倉敷市とあわせて瀬戸内市も得意地域としています。瀬戸内市では、邑久町山田庄で全18区画の分譲地「トリプルテラス邑久(Triple Terrace OKU)」を、当社が売主として分譲しています。この記事では、その分譲で得た経験もふまえつつ、瀬戸内市の公式サイトと国の公式サービスで確認できる情報をもとに、売主が売り出し前に調べておきたいことを整理するものです。価格の相場や売却にかかる期間には触れません。
瀬戸内市の住所は長船町・邑久町・牛窓町の3つの町名で始まり、市のハザードマップの詳しい地図もこの3つの地域ごとに分かれています。物件の住所がどの町にあたるかを最初に確かめておくと、以降の調べものがスムーズになります。
この記事で扱うのは、①都市計画の現状、②地区別のハザードマップ、③空き家バンクの流れ、④所有者が使える片付けと解体の補助、⑤農地付き物件の手続き、⑥買主側の改修補助、⑦売り出しまでの手順です。いずれも2026年10月4日時点で市のページを確認した内容で、制度は年度ごとに変わることがあるため、使う前に最新のページを見直してください。
瀬戸内市には今、都市計画区域がない
市の都市計画のページには、瀬戸内市には現在、都市計画区域がないと明記されています。岡山市のように市街化区域と市街化調整区域の線引きや、13種類の用途地域による建築のルールが市内にかかっている状態ではない、ということです。そのうえで市は、都市計画法に基づく都市計画マスタープランの案を令和7年3月に作成し、今後、都市計画区域の導入にあわせて県の計画や個別の都市計画の内容を反映して見直すとしています。担当は建築住宅課の都市計画準備室です。
売主にとっての意味は、土地の使い方に関するルールが将来変わる可能性がある、という点です。市のページでは、導入をめざす制度として区域区分(線引き)、用途地域、道路・公園・下水道などの都市施設が説明されていますが、導入の時期やどの区域に何がかかるかは、確認した時点のページには示されていませんでした。
仮に、住宅を建てる予定の買主が邑久町の土地を検討している場面を考えます。買主は将来も同じように建てられるかを気にするため、売主側が都市計画準備室のページで最新の検討状況を見ておき、分からない点は不動産会社を通じて市に確認する、という段取りにしておくと説明が食い違いにくくなります。国の不動産情報ライブラリでも、都市計画や防災の情報を地図に重ねて確認できます。
防災ハザードマップは長船・邑久・牛窓の地区図で見る
瀬戸内市の防災ハザードマップは令和2年3月に発行され、洪水、土砂災害、地震と津波を中心に、液状化や揺れやすさ、想定最大規模の雨による浸水の範囲などを載せています。長船町・邑久町・牛窓町の地域ごとに詳しい地図があり、令和3年12月には、避難情報の変更と、同年3月に指定された土砂災害特別警戒区域などの追加が反映されました。担当は危機管理課です。
発行から年数がたっているため、市の地図だけでなく、国のハザードマップポータルサイトの重ねるハザードマップで住所を入れ、洪水・内水、土砂災害、高潮、津波の想定をあわせて見ておくと安心です。海に近い場所、川沿いの低い土地、山すその住宅地では、気にするべき災害の種類が変わります。物件の場所で何が想定されているかを、種類ごとに書き出しておきましょう。
確認の順番は、①登記や納税通知書で所在地を確かめる、②市の地区図で物件の位置を探す、③重ねるハザードマップで同じ住所を見る、④違いがあれば両方を記録する、の4つです。市の地図と国の地図で見え方が違うことはあり得るため、どちらで何を見たかを残しておくと、不動産会社との打ち合わせで役立ちます。
水害の説明義務と、売主が整理しておく事実
国土交通省は、宅地建物取引業法の施行規則を改正し、令和2年8月28日から、売買や賃貸の重要事項説明で、水防法に基づく水害ハザードマップ(洪水・雨水出水・高潮)における物件のおおよその位置を示すことを不動産会社に義務づけています。説明するのは不動産会社ですが、地図の上の位置だけでは伝わらない情報もあります。
売主として整理しておきたいのは、実際の出来事です。たとえば、大雨のときに敷地や床下へ水が入ったことがあるか、裏山から土砂が流れてきたことがあるか、修理や補修をした場合はいつ何をしたか、といった点です。仮に、数年前の大雨で庭に水がたまり、物置の床が傷んで張り替えたことがある場合、その時期と工事の内容をメモにしておけば、買主への説明や物件状況の報告書の記入がぶれにくくなります。
知っている不具合や被害の履歴を伝えずに売ると、引き渡し後に契約の内容と違うとして話し合いになることがあります。記憶があいまいなら、分かる範囲で正直に書き、不明な点は不明と伝えるのが基本です。写真や修理の領収書が残っていれば、あわせて手元にそろえておきましょう。
空き家バンクの流れと、市がしないこと
瀬戸内市の空き家バンクは、所有者が市に空き家を登録し、利用を希望する人に紹介する仕組みで、売買にも賃貸にも対応しています。市のQ&Aによると、流れは①申し込みと調査日の調整、②物件調査、③掲載内容の確認、④公開、の順です。調査では市の職員が所有者の立ち会いのもとで訪問し、外観や各部屋、台所・浴室・トイレ、庭や車庫などを通常のカメラと360度カメラで撮影します。家財が残っていても撮影できる状態なら調査はでき、写してほしくないものはぼかして公開することもできます。仏壇は置いたままでよく、移し先は相手が決まってから相談する扱いです。
一方で、市は仲介をしません。利用希望者から問い合わせがあると市は登録者の連絡先を伝え、その先の対応は当事者どうしで行うと明記されています。契約書の作成、重要事項の説明、境界や設備の確認は、当事者側で用意する必要があります。遠方に住む所有者には、市内で管理や問い合わせに対応できる人を見つけるか、仲介業者や空き家管理の業者に頼むことも検討するよう案内されています。価格についても、市のQ&Aは固定資産税の評価額を手がかりにした目安の考え方を示しつつ、反応を見て柔軟に見直すよう案内しています。
成約したら、変更の届け出を出して市に連絡します。問い合わせがないときは条件や価格の見直しが勧められています。
- 01登録の申し込み
市の申し込みフォームか担当課へ連絡し、調査日を調整
- 02物件調査
職員が立ち会いのもとで外観・室内を撮影(家財が残っていても可)
- 03掲載内容の確認と公開
内容を確かめたうえで物件一覧に掲載
- 04片付けの補助を使うなら
処分の10日前までに申請
- 05問い合わせへの対応
市から連絡先が伝わり、交渉と契約は当事者で行う(仲介業者への依頼も可)
- 06成約後
変更の届け出を出して市に連絡
空き家の片付けには所有者が使える補助がある
瀬戸内市には、空き家バンクに登録した空き家の家財などを処分する費用を補助する制度があります。市のページ(2024年4月26日更新)では、対象は空き家の所有者、または売却や貸し出しを行う権利を持つ人で、購入を予定している人は対象外です。条件として、物件が空き家バンクに登録されていること、補助を受けてから2年以上登録を続ける意思があること、市税などの滞納がないこと、過去にこの補助を受けていないことが挙げられています。
補助額は対象経費の2分の1で、千円未満は切り捨て、上限は20万円です。仮に家財の処分の見積もりが34万5,500円だった場合、2分の1は17万2,750円で、千円未満を切り捨てた17万2,000円が計算上の補助額になります。見積もりが50万円なら2分の1は25万円ですが、上限の20万円までです。実際に対象となる経費の範囲は市の審査によるため、この計算は目安として見てください。
手続きは、処分を行う日の10日前までに申請することになっています。申請書には本人確認書類、現況の写真、見積書、登記の書類などを付けます。業者に処分を頼んでから申請すると間に合わないことがあるので、①見積もりを取る、②市に申請する、③処分する、の順番を守りましょう。
解体の補助と、建物を残すか更地にするかの考え方
倒壊などのおそれがある空き家については、市の空家等除却支援事業の補助があります。対象は、特定空家等に認定された空き家か、そうなる可能性が高く、倒れたり建材が落ちたりした場合に近隣の住宅や道路への影響が大きいものです。補助額は経費の3分の1以内(千円未満切り捨て)で、上限は50万円。申請の受付は4月から11月末までで、1月末までに工事を終えて実績報告を出す必要があります。事前の相談と現地の確認が必須で、交付決定の前に工事の契約や着工をすると対象外になります。担当は危機管理課です(2025年4月1日更新のページで確認)。
仮に解体費の見積もりが135万円なら3分の1は45万円、180万円なら60万円ですが上限の50万円まで、という計算になります。年度の途中で申請が締め切られる点にも注意が必要です。
市の空き家相談Q&Aでは、老朽化した物件の売却価格は一般に土地の価格だけで評価されると説明されています。ただ、壊すと戻せないうえ、更地にすると固定資産税の扱いや譲渡の税制の特例の条件が変わることもあります。ここでの内容は一般情報ですので、解体の前に、不動産会社には売り方の見通しを、税理士には税金への影響を相談してから決めると安心です。
農地付きの空き家や田畑を売るときは農業委員会へ
市の空き家バンクQ&Aでは、農地付きの空き家を探している人も多いとして、農地付きであることを明記して登録するよう案内しています。ただし、農地の売買は家や宅地と同じようには進みません。瀬戸内市農業委員会のページによると、農地を売ったり貸したりするには農地法第3条の許可が必要で、買う側が所有・借りている農地のすべてを効率的に耕作していること、農作業に常時従事していること、周辺の農地に悪影響を与えないことなどの要件があります。
申請書の締め切りは毎月20日(閉庁日ならその前の開庁日)で、翌月10日前後の農業委員会の総会で審査されます。仮に家と畑を一緒に売る話がまとまった場合、畑の部分は許可が出るまで所有権を移せないため、契約日と引き渡し日はこの日程を踏まえて決める必要があります。
農地を住宅や駐車場など別の用途に変えるなら、農地法第4条・第5条の転用許可が必要で、こちらも事前の相談が求められています。相続で農地を取得した場合は許可は不要ですが、届け出が必要です。相続登記がまだの場合は、売り出しの前に司法書士へ相談しておくと手続きの順番を整理しやすくなります。
県外から移り住む買主の改修補助も知っておく
瀬戸内市には、空き家バンクまたは市の移住相談の台帳に登録された空き家を買ったり借りたりした人が、改修などの費用について補助を受けられる制度もあります。市のページ(2025年4月1日更新)では、補助の申請前1年以内に売買や最初の賃貸借の契約を結んだ空き家が対象で、補助を受けられるのは、申請前に県外に3年以上住んでいた人などの条件を満たす移住者です。転勤や結婚、進学による転入は除かれ、改修後3年以上住む意思があることなども求められます。
補助額は対象経費の3分の1(千円未満切り捨て)、上限は50万円です。改修の前に市へ相談し、申請して交付決定を受けてから工事を行い、実績報告を出す流れです。
売主が直接受ける補助ではありませんが、県外から移り住む人にとっては、どの家を選ぶかの判断材料になります。空き家バンクに登録しておくと、こうした補助の対象となる物件として買主が検討しやすくなる面があります。仮に県外在住の人から問い合わせがあった場合、この制度があることを伝え、詳しい条件は市に確認してもらうよう案内すると、話が進めやすくなります。
- 登記や納税通知書で所在地・地番・面積と名義人を確かめた
- 長船町・邑久町・牛窓町のどの地区図にあたるかを確かめ、市のハザードマップで位置を見た
- 国の重ねるハザードマップで同じ住所の洪水・土砂・高潮・津波を確認した
- 過去の浸水や土砂の被害、修理の時期と内容を書き出した
- 都市計画準備室のページで、都市計画の最新の検討状況を見た
- 空き家バンクに登録するか、不動産会社への依頼とどう組み合わせるか決めた
- 片付けや解体の補助を使う場合、申請の期限と順番を確認した
- 農地が含まれる場合、農業委員会の許可や届け出の要否を確認した
トリプルギブへのご相談
瀬戸内市の物件は、都市計画の今後の動き、地区ごとのハザードマップ、空き家バンクと補助の使い方、農地の許可と、売り出し前に確認することが多くあります。補助は申請の時期や順番を間違えると使えなくなることがあるため、売却の段取りと一緒に考えておくのが大切です。
トリプルギブでは、ご相談のあと、公的な情報と現地の調査をもとに根拠のある査定をお出しし、売却の方針を明確にしたうえで、仲介にするか買取にするかを決めていきます。空き家バンクへの登録と不動産会社への依頼をどう組み合わせるかも、一緒に整理できます。対応できるかどうかは物件ごとに判断しますので、所在地と現在の使い方、空き家バンクへの登録の有無、農地が含まれるかどうかをお知らせください。
相続した空き家で名義の変更が済んでいない場合や、税金が気になる場合、この記事は一般情報ですので、司法書士や税理士にもあわせてご相談ください。
よくある質問
Q. 空き家バンクに登録している間に、不動産会社にも売却を頼むことはできますか?
市の空き家バンクQ&Aでは、所有者が価格の決め方や問い合わせへの対応を仲介業者に頼むことも想定されており、遠方の所有者には仲介業者などへの依頼の検討が案内されています。ただ、媒介契約の種類や登録の扱いで確認すべき点もあるため、登録前に市の担当課と依頼する会社の双方に、併用の進め方を確かめておくと安心です。
Q. 片付けの補助を受けた後、空き家バンクを通さずに売れた場合はどうなりますか?
片付けの補助は、交付後2年以上バンクへの登録を続ける意思があることが条件の一つになっています。バンク以外の経路で売れた場合の扱いは、市のページでは確認できませんでした。補助を受ける前に、売却の見込みや依頼する会社のことを市の担当課へ伝え、条件に反しないかを確かめてから申請してください。
Q. 市のハザードマップに物件のあたりの想定が載っていなければ、心配はないと考えてよいですか?
市の地図は令和2年3月の発行で、令和3年12月に一部が更新された内容です。その後に指定や想定が見直されている可能性もあるため、国の重ねるハザードマップで同じ住所を確認してください。また、地図に想定がなくても、過去に浸水や土砂の被害があったなら、その事実は買主に伝えるべき情報です。
Q. 都市計画区域がまだないなら、今のうちに売ったほうが有利ですか?
導入の時期やどこにどんな規制がかかるかは、確認した時点の市のページには示されておらず、有利不利は一概に言えません。売るかどうかは、物件の状態や相続の状況、ご家族の予定などで判断するのが基本です。気になる場合は、都市計画準備室のページで最新の検討状況を見たうえで、査定とあわせて見通しを相談してください。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
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