SELLING JOURNAL / 進め方
岡山で不動産を売るときの必要書類|登記・本人確認・測量資料と準備時期
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

売却で使う書類は、相談・査定の段階で役立つもの(登記の内容がわかる書類、購入時の資料、測量図や建築の資料)と、決済の直前に必要になるもの(登記識別情報または権利証、作成後3か月以内の印鑑証明書など)に分かれます。権利証などを紛失していても売却はできますが、本人確認の手続きが追加になるため、早めに確認しておきましょう。
書類は「いつ使うか」で分けて考える
必要書類を一度に全部そろえようとすると負担が大きく、期限のある書類は取り直しになることもあります。売主の準備は、①相談・査定のとき、②売り出しから売買契約まで、③決済・引渡しの直前、の3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。
相談の段階では、所有者や面積、抵当権の有無がわかる資料や、購入時の売買契約書・重要事項説明書、固定資産税の納税通知書など、手元にあるものを出していただくだけで調査が進めやすくなります。売り出しから契約までの間は、買主への説明に使う測量図や建物の資料が中心です。決済の直前には、所有権移転登記の申請に使う書類が必要になります。
登記の手続きは一般に司法書士へ依頼するため、決済で使う具体的な書類は担当の司法書士の指示に従ってください。この記事は一般情報としての整理であり、個別の事情によって必要書類は増減します。
段階ごとに考えるもう一つの利点は、足りない書類に早く気づけることです。たとえば権利証が見つからない、登記上の住所が古い、共有者の一人と連絡がとりにくいといった事情は、決済の直前にわかると日程の組み直しが必要になります。相談の段階で「あるもの」と「ないもの」を一覧にしておくだけでも、その後の準備がずっと楽になります。
- 01相談・査定
購入時の契約書類、納税通知書、ローン返済予定表など手元の資料を出す
- 02保管状況の確認
権利証・登記識別情報通知の枚数と保管場所を確かめる
- 03売り出し前
測量図、境界の書面、建物の図面や修繕記録をそろえる
- 04売買契約
契約書・重要事項説明書の内容を確認し、決済日の目安を決める
- 05決済の約1か月前
司法書士の案内に沿って印鑑証明書や住民票などを取得する
- 06決済・引渡し
登記の申請と同時に、図面や鍵などを買主へ引き継ぐ
相談・査定の段階で出したい書類
査定の精度は、物件の情報がどれだけ正確にそろっているかで変わります。この段階で原本を新たに取り寄せる必要はなく、手元にあるものを見せていただくだけで十分です。目安としては、①購入時の売買契約書・重要事項説明書、②固定資産税の納税通知書(毎年届く課税明細が付いたもの)、③登記識別情報通知や権利証があるかどうかの確認、④住宅ローンの返済予定表、⑤建物の図面やパンフレット、の5つです。
納税通知書が見当たらない場合、岡山市内の不動産なら、固定資産評価証明書を市の窓口で取得できます。市の案内では、評価証明書には土地なら地番・地目・地積・評価額・課税標準額、家屋なら地番・家屋番号・床面積・評価額・課税標準額が記載され、手数料は1年度1名義5筆ごとに300円とされています(2026年10月4日に市の公式ページで確認)。マイナンバーカードを使ったオンライン申請の案内もあります。
なお、評価証明書は本人以外でも、条件を満たせば取得できる場合があります。市の案内では、証明書取得の委任特約が付いた媒介契約書を持つ宅地建物取引業者や、司法書士・弁護士なども申請できる者として挙げられています。媒介契約を結んだあとは不動産会社に取得を任せられることもあるので、無理に先回りして取りに行く必要はありません。
登記識別情報と権利証(登記済証)
法務省の「新不動産登記法Q&A」によると、登記識別情報はアラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号で、不動産と登記名義人ごとに定められ、登記の際の本人確認の手段になります。書面申請で取得した場合は、はり直しのできない目隠しシールが貼られた通知書で交付されています。
それ以前に登記をした不動産では、いわゆる権利証(登記済証)が交付されており、法務省のQ&Aでは、登記済証は書面申請で引き続き添付書面として利用できるとされています。どちらも売却の決済で使うので、保管場所を相談の段階で確認しておきましょう。
確認するときに気をつけたいのは、物件が複数の登記でできていることがある点です。たとえば土地と建物を別々の時期に取得した、隣の土地を後から買い足した、という場合は、通知書や権利証が複数あります。登記識別情報の12桁の符号は他人に知られないよう、シールははがさずに保管し、コピーをとって不動産会社に送るといったことも避けてください。何枚あるかがわかれば十分です。
なお、マンションの場合は、建物の区分と敷地権がまとめて登記されていることが多く、通知書や権利証の数え方が一戸建てと異なることがあります。迷ったときは、登記事項証明書で取得の経緯を確かめながら不動産会社と一緒に確認すると確実です。
権利証や登記識別情報が見つからないとき
法務省のQ&Aでは、登記識別情報は登記完了時に通知するものなので、再通知は認められないとされています。ただし、見つからなくても売却ができなくなるわけではありません。
法務局の案内では、登記識別情報を提供できない場合は、登記官が事前通知(個人の場合は本人限定受取郵便)によって本人確認を行うのが原則とされ、司法書士等の資格者に登記申請を委任する場合は、資格者が本人であることを確認した書類(本人確認情報)を提供する方法や、公証人に同様の書類を作成してもらう方法もあるとされています。本人確認情報の作成には手数料がかかる場合があるとも案内されています。
売買の決済では、代金の支払いと登記の申請を同じ日に行うのが一般的です。事前通知の方法は、通知が届いて売主が返送するまで手続きが完了しないため、買主や金融機関との調整が必要になります。どの方法をとるかは司法書士と相談して決めることになるので、紛失がわかった時点で不動産会社と司法書士に伝えておけば、決済日の段取りに組み込めます。
探すときは、購入時の契約書類と一緒に綴じていないか、金庫や仏壇の引き出し、銀行の貸金庫などにしまっていないかも確認してみてください。
印鑑証明書など期限のある書類と、共有・相続の場合
不動産登記令では、登記の申請書や代理人の権限を証する書面に記名押印した人の印鑑証明書は、作成後3か月以内のものでなければならないと定められています(2026年10月4日にe-Gov法令検索で条文を確認)。そのため、印鑑証明書は早く取りすぎず、決済日が決まってから取得するのが一般的です。印鑑登録をしていない方は、まず住んでいる市町村で登録を済ませておく必要があるため、早めに確認しておきましょう。
住民票や戸籍の附票などは、登記上の住所や氏名が現在と違う場合に、つながりを示すために使われます。購入後に引っ越した、結婚で姓が変わったという方は、相談の段階でその旨を伝えておきましょう。
共有名義の場合は、共有者全員分の書類が必要になります。共有者が遠方に住んでいる、高齢で外出が難しいといった事情があると、書類の取得や署名・押印に思いのほか日数がかかります。決済日を決める前に、誰がいつどの書類を用意できるかを共有者の間で確認しておきましょう。
相続で取得した不動産は、売却の前提として相続登記が済んでいる必要があります。まだの場合や、遺産分割の話し合いが終わっていない場合は、司法書士や弁護士に相談してください。
住宅ローンが残っている場合に確認すること
住宅ローンを借りて購入した不動産には、通常、借入先の金融機関の抵当権が登記されています。売却して買主に引き渡すには、決済の日にローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。そのため、売主の書類準備には、金融機関とのやり取りが加わります。
相談の段階では、返済予定表やインターネットバンキングの画面などで、おおよその残高を確認しておきましょう。売却の見込み額と残高、仲介手数料や登記費用などの諸費用を並べて、手取りでローンを返しきれるかどうかを早めに把握しておくことが大切です。
売買契約が決まったら、借入先の金融機関に一括返済の予定を伝え、手続きの方法と必要な期間を確認します。抵当権の抹消に使う書類は金融機関から受け取り、司法書士が所有権移転の登記とあわせて申請するのが一般的な流れです。金融機関によって申込みの締切や必要書類が異なるので、決済日を決める前に問い合わせておくと日程の調整がしやすくなります。返済しきれない見込みがある場合や、借り換えを重ねている場合は、早い段階で金融機関に相談してください。
測量・建築・管理の資料は売り出し前にそろえたい
土地の面積や境界、建物の内容を買主に説明するための資料は、売り出し前に確認しておくと話が早く進みます。①地積測量図や境界確認の書類(隣地の方と境界を確認した書面など)、②建物の確認済証・検査済証や設計図書、③リフォームや修理の記録、④建物状況調査の報告書(実施している場合)、⑤マンションなら管理規約や総会の資料などです。
法務局で取得できる登記事項証明書や地積測量図は、不動産会社が調査で取ることもできますが、購入時に受け取った測量図や境界の書面は売主の手元にしかないことがあります。分譲地を購入した方は、購入時に受け取った書類の束を一度見直してみてください。
資料がそろわないからといって売り出せないわけではありません。ただ、境界がはっきりしない、増築部分の記録がないといった点は、買主の判断や契約条件に影響することがあります。「ない」とわかっていることも含めて早めに伝えていただくと、調査や説明の準備がしやすくなります。
具体例:決済日から逆算した準備スケジュール
仮に、市内の土地付き一戸建てを夫婦の共有名義で所有していて、住宅ローンが残っている場合を考えてみます。購入後に一度引っ越しており、登記上の住所は前の住まいのままという前提です(ここで挙げるのは説明のための想定で、実際の取引ではありません)。
まず相談の時点で、購入時の契約書類、納税通知書、ローンの返済予定表、権利証または登記識別情報通知の有無を確認します。この例では、登記上の住所が古いため、住所のつながりを示す住民票などが必要になりそうだと早めにわかります。また、ローンの残高と売却の見込み額を比べ、抵当権の抹消に向けて借入先の金融機関へ連絡する時期を決めます。
売買契約が決まって決済日が見えてきたら、司法書士から必要書類の案内を受けます。夫婦それぞれの印鑑証明書は作成後3か月以内のものが求められるので、決済日の1か月ほど前を目安に、二人分をそろえる計画にしておくと安心です。片方が仕事で平日に動きにくい場合は、住んでいる市町村の窓口の受付時間や、郵送など窓口以外の取得手段があるかを事前に確認しておきます。
決済日の当日は、代金の受け取りと同時に、ローンの完済・抵当権の抹消・所有権移転の登記が進みます。必要な書類や手順は個別の事情で変わるので、ここでの流れは一般情報として参考にとどめ、具体的な判断は司法書士と金融機関に確認してください。
- 登記識別情報通知または権利証がある(ない場合は司法書士に連絡済み)
- 印鑑証明書は作成後3か月以内のもの
- 登記上の住所・氏名と現在の住所・氏名が同じか確認した
- 共有者全員の書類と署名・押印の段取りがついている
- 相続した物件は相続登記が済んでいる
- 住宅ローンの完済と抵当権抹消について金融機関と打ち合わせた
- 買主へ引き継ぐ図面・確認済証・境界の書面をまとめた
- 本人確認書類(運転免許証など)を決済日に持参できる
当地で書類を取るときの窓口
登記事項証明書や地積測量図などの写しは法務局で取得します。県内の登記を扱う岡山地方法務局の本局は、岡山市北区南方にあります。法務局の案内では、パソコンからのオンライン請求も可能で、郵送で受け取るか、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取ることができるとされています。
手数料は、法務省の案内(令和7年4月1日適用、2026年10月4日確認)で、不動産の登記事項証明書が書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円です。地積測量図などの地図等情報は、書面請求500円、オンライン請求・送付470円、オンライン請求・窓口交付440円とされています。手数料は改定されることがあるので、請求前に最新の金額を確認してください。
岡山市の固定資産評価証明書などの税証明は、北区・中区・東区・南区の各市税事務所のほか、地域センターや支所、市民サービスコーナーなどでも発行していると市の案内にあります。受付時間や取り扱う証明の種類は窓口によって違う場合があるので、出かける前に市の「証明の発行窓口」のページで確認しましょう。倉敷市や瀬戸内市など他の市町の物件は、それぞれの市町の公式サイトで取得場所と手数料を確認してください。
トリプルギブへのご相談
トリプルギブでは、ご相談の段階で手元にある書類をうかがい、物件の調査をしたうえで根拠のある査定をご提出します。そのうえで売却方針を明確にし、仲介か買取かを確定してから、決済までに必要な書類の準備を順番にご案内します。
権利証が見つからない、相続した家で書類がどこにあるかわからない、共有者との調整が必要といった場合も、まずはそのままご相談ください。どの書類がいつ必要になるかを一緒に整理し、登記の手続きは司法書士と連携して進めます。公式サイトのCASEには、これまでに掲載している取引実績を紹介しています。
よくある質問
Q. 登記識別情報通知のシールをはがしてしまいました。もう使えませんか?
登記識別情報は、12桁の符号を他人に知られないことで本人確認の手段として働く仕組みです。シールをはがした状態だと、符号が第三者の目に触れた可能性を否定しにくくなります。はがしてしまった場合は、それ以上人目に触れないよう封筒などに入れて保管し、売却の相談時に司法書士へそのまま伝えてください。どのような対応が必要かは、状況を聞いたうえで個別に案内してもらうのが確実です。
Q. 売主が遠方に住んでいて、決済の日に立ち会えません。どうすればよいですか?
決済に立ち会えない場合でも、司法書士が事前に本人確認と意思確認を行い、必要書類を郵送でやり取りする方法がとられることがあります。代理人を立てる方法もありますが、委任状や印鑑証明書など追加の書類が必要になります。どの方法がとれるかは司法書士の判断によるので、売り出しの段階で遠方に住んでいることを伝え、日程に余裕を持たせておくと安心です。
Q. 固定資産税の納税通知書を捨ててしまいました。査定は受けられますか?
査定は受けられます。納税通知書は物件の評価額や地番を確認するのに便利ですが、なくても登記事項証明書や現地の調査から情報は集められます。岡山市内の物件なら、固定資産評価証明書を市税事務所などの窓口やオンライン申請で取得できます。媒介契約を結んだあとは、委任特約に基づいて不動産会社が取得できる場合もあるので、まずは相談時に伝えてください。
Q. 購入時の契約書や図面は、売却後に買主へ渡すのですか?
建物の図面、確認済証・検査済証、設備の取扱説明書、境界の書面などは、引渡しのときに買主へ引き継ぐのが一般的です。一方、購入時の売買契約書や領収書は、売却後の譲渡所得の計算で取得費を確かめるのに使うことがあるため、写しをとるなどして売主側でも保管しておきましょう。税金の扱いは一般情報としての説明にとどまるので、具体的には税理士や税務署に確認してください。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
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