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SELLING JOURNAL / 状況別

岡山でがけ・高低差のある土地を売る前に売主が整えておく資料

この記事の確認者

代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

玉野市東紅陽台の住宅用地
写真:玉野市東紅陽台 住宅用地(公式サイト掲載の取引実績)
まず、ここから

高低差のある土地は、買主が建築の制約や擁壁の安全性を判断できる材料があるかどうかで検討の進み方が変わります。売る前に、①擁壁の図面や確認の記録、②盛土規制法の規制区域か、③土砂災害警戒区域か、を岡山市の公式情報で確かめ、わかったこととわからないことを分けて示せるようにしておくのが基本です。

高低差のある土地で買主が気にすること

道路より高い、または低い土地や、敷地内や隣地との境に擁壁やがけがある土地は、平坦な土地とは違う点を買主が気にします。具体的には、①家を建てられる位置や範囲に制約がないか、②既存の擁壁がそのまま使えるのか、作り直しが必要になるのか、③大雨のときの土砂災害の危険はどうか、④造成や擁壁工事にどれくらい費用がかかりそうか、といった点です。

買主がこれらを自分で一から調べるのは負担が大きく、不明な点が多いほど慎重になりがちです。たとえば「擁壁がいつ造られたかわからない」「区域に入っているか調べていない」という状態だと、買主は最悪の場合を想定して検討するため、話が前に進みにくくなります。逆に、確認済みの事実と未確認の事項が整理されていれば、買主は何を追加で調べればよいかがわかり、判断しやすくなります。

売主の側で、手元にある資料と公式情報で確認できることを先にまとめておけば、契約後に「聞いていなかった」という行き違いを防ぐことにもつながります。この記事では、確認の順番と確認先を、市内の土地を例に整理します。

岡山市内の「がけ」の扱いを確かめる

がけに近い土地での建築の制限は、自治体の条例で定められていることがあり、地域によって扱いが違います。岡山市の構造関係規定のよくある質問では、市は独自のがけ条例を定めておらず、岡山県が定めているがけ条例(建築物等の制限に関する条例第3条)は市内では適用除外であると案内されています。

ただし同じ回答の中で、建築基準法第19条により設計者が敷地の安全性を適切に判断する必要があること、土砂災害特別警戒区域や盛土規制法の対象区域では別途の確認が必要であることも示されています。つまり、市内だから制約がないということではありません。買主が家を建てる段階で、設計者が擁壁やがけの状態を見て、基礎の形や建物の位置を検討することになります。

倉敷市や瀬戸内市など市外の物件は、県のがけ条例の扱いを含めて事情が異なる場合があります。所在地の市町や県の公式サイトで確認するか、窓口に問い合わせてください。売却相談の段階では「どの自治体のルールが適用される土地か」を最初に押さえておくと、その後の確認が迷わずに進みます。

擁壁の資料を探し、2mを目安に整理する

既存の擁壁がある場合は、いつ、誰が、どんな手続きで造ったかがわかる資料が重要です。岡山市の案内では、高さが2mを超える擁壁を設置する場合は建築基準法の確認申請が必要とされています(盛土規制法、都市計画法、津波防災地域づくり法による許可を受ける場合を除く)。高さが2mを超える擁壁があるなら、確認済証や検査済証、あるいは開発許可などの許可の記録が残っていないかを探す価値があります。

分譲地として造成された土地であれば、開発許可や工事完了の検査の記録が残っていることもあります。購入時の重要事項説明書や売買契約書の添付資料、前所有者から引き継いだ書類、造成した会社の分譲時のパンフレットなどを見直してみてください。

資料が見つからない場合でも、擁壁の高さをメジャーで測り、どの面にどの程度の高さの擁壁があるかを写真とともに記録しておくと役立ちます。仮に、道路側に高さ1m程度の擁壁、裏の隣地側に2mを超えるように見える擁壁がある土地なら、「道路側は低い擁壁、裏側は高い擁壁で記録は未確認」と書き分けるだけでも、買主や専門家が次に何を調べればよいかがはっきりします。擁壁の安全性の判断は、建築士などの専門家の調査に委ねる部分です。

盛土規制法の規制区域と所有者の責務

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)は、国土交通省の概要によると令和5年5月26日に施行され、宅地・農地・森林など土地の用途にかかわらず、規制区域内の一定規模以上の盛土等の工事を許可の対象としています。施工中の定期報告や中間検査、完了検査の仕組みも設けられています。

岡山市は令和7年4月1日から、市街地や集落周辺を対象とする宅地造成等工事規制区域と、市街地から離れていても地形などから人家に危害を及ぼしうる特定盛土等規制区域の運用を始めています。自分の土地がどちらかに入るかは、市の公式サイトに掲載された区域の詳細図(PDF)で確認できます。手続きや相談は開発指導課(本庁舎6階)の窓口で受け付けており、相談時は敷地の所在地がわかる地図や登記事項証明書を持参するよう案内されています。

国土交通省の概要では、土地所有者等が盛土等を安全な状態に維持する責務を有することが明確化され、危険な盛土等には是正命令が出され、従わない場合の罰則も定められています。所有者が変われば、この立場は買主に移ります。だからこそ買主は区域の有無や造成の経緯を気にします。売主としては、区域に入っているかどうかと、過去の造成について知っていることを整理して伝えるのが基本です。

土砂災害警戒区域かどうかを確認する

がけや斜面の近くの土地では、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定されているかどうかも確認が必要です。対象となる現象は、がけ崩れ、土石流、地すべりです。国土交通省の土砂災害防止法の概要資料では、警戒区域では宅地建物取引業者が売買などの際に警戒区域内である旨を重要事項として説明することが義務づけられ、特別警戒区域ではさらに住宅地分譲などの特定の開発行為に対する許可制や、居室のある建物の構造規制が行われると説明されています。

市内の指定状況は、岡山市の「市内の土砂災害警戒区域等について」の案内から、洪水・土砂ハザードマップや県の指定箇所一覧表、県の統合型GISで確認できます。市の担当は下水道河川計画課の河川防災室と案内されています。あわせて、国土交通省の不動産情報ライブラリでも防災情報や都市計画情報を地図で見ることができるので、周辺の状況をつかむ参考になります。

区域に指定されていること自体を隠して売ることはできません。特別警戒区域に入っている場合は、買主が建てる建物の計画に直接影響するため、売り出し前の段階で事実を確かめ、価格や売り方の検討に織り込んでおくことが大切です。

高低差のある土地で確認する公的な区域の比較
項目盛土規制法の規制区域土砂災害警戒区域・特別警戒区域
根拠宅地造成及び特定盛土等規制法土砂災害防止法
主な内容一定規模以上の盛土等の工事に許可・届出。土地所有者等の安全維持の責務警戒区域は重要事項説明の対象。特別警戒区域は特定の開発行為の許可制と建物の構造規制
市内での確認方法市の公式サイトの区域の詳細図(PDF)洪水・土砂ハザードマップ、県の指定箇所一覧表やGIS
市の窓口開発指導課(窓口のみ)下水道河川計画課 河川防災室
2026年10月4日に岡山市・国土交通省の公式情報で確認した内容です。市外の土地は各自治体の公式サイトで確認してください。

擁壁の持ち主、道路との出入り、排水も確かめる

区域や資料の確認とあわせて、見落とされやすいのが「その擁壁は誰のものか」という点です。隣地との境にある擁壁は、自分の敷地内にあるのか、隣地側にあるのか、境界線の上にまたがっているのかで、将来の補修や作り直しを誰が担うかの話が変わります。地積測量図や境界標の位置を確かめ、境界がはっきりしない場合は、売り出し前に隣地所有者との境界の確認を検討します。

道路との高低差が大きい土地では、車の出入りや玄関までの階段・スロープをどう設けるかも買主の関心事です。今ある駐車スペースや階段の位置、道路から敷地までのおおよその高さを記録しておくと、買主が建物の配置を考えやすくなります。

もう一つは排水です。高い側の土地から低い側へ雨水が流れる地形では、大雨のときに水がどこへ流れ、どこにたまるかが擁壁の傷み方にも関わります。側溝や雨水桝の位置、水抜き穴から水が出ているかなどを、雨の日や雨上がりに一度見ておくと、売主にしか書けない具体的な情報になります。

場面例:裏に高い擁壁がある土地を売る場合

仮に、親から引き継いだ市内の住宅用地で、道路とほぼ同じ高さの敷地の裏側に、隣地との境として古い石積みの擁壁があるとします。家は数年前に取り壊して更地になっており、擁壁がいつ造られたかの資料は手元にありません。

この場合、まず擁壁の高さを測り、2mを超えているかどうかを記録します。次に、盛土規制法の区域の詳細図と、土砂災害警戒区域のハザードマップで、土地が区域に入っているかを確認します。家を建てたときの確認済証や検査済証、昔の売買のときの重要事項説明書が実家に残っていないかも探します。ここまでで、たとえば「擁壁は高さ約2.3m、記録なし。盛土規制法の区域内。土砂災害警戒区域は区域外」のように、確認できた事実が並びます。

この整理があれば、買主は「擁壁の調査費や作り直しの可能性を見込んだうえで検討する」という判断ができます。一方、何も調べずに売り出すと、買主から質問が来るたびに確認することになり、そのたびに検討が止まってしまいます。なお、石積みの擁壁が今の基準で使えるかどうかは、外から見ただけでは判断できません。売主が推測で「大丈夫」と言わず、専門家による調査が必要な事項として示すのが誠実な伝え方です。

売り出し前の確認チェックリスト
  • 登記事項証明書・公図・地積測量図をそろえた
  • 過去の売買契約書・重要事項説明書を探した
  • 確認済証・検査済証・開発許可の書類の有無を確かめた
  • 擁壁の位置と高さを測り、2mを超えるか記録した
  • ひび割れ・傾き・水抜き穴・排水の状態を写真に残した
  • 盛土規制法の規制区域かどうかを詳細図で確認した
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域かどうかを確認した
  • わかったこととわからないことを一枚に整理した

売り出しまでの確認の手順

確認は、次の順番で進めると無駄がありません。①手元の書類を集める:登記事項証明書、公図、地積測量図、過去の売買契約書と重要事項説明書、確認済証・検査済証、開発許可の書類。②現地を記録する:道路・隣地との高低差、擁壁の位置と高さ、ひび割れや傾き、水抜き穴の有無、排水の流れを写真とメモで残す。③区域を調べる:盛土規制法の規制区域の詳細図、土砂災害警戒区域のハザードマップを見て、該当の有無を記録する。④窓口で確かめる:地図だけでは判断しにくいときは、開発指導課や建築指導課で確認する。⑤整理する:わかったこととわからないことを一枚にまとめ、相談先の不動産会社に渡す。

岡山市の盛土規制法の手続きや相談は、開発指導課の窓口のみで受け付け、電話やメールでは対応していないと案内されています。出向く前に、敷地の所在地がわかる地図と登記事項証明書を用意しておきましょう。擁壁の確認申請など建築に関する規定は建築指導課、土砂災害警戒区域の案内は河川防災室が窓口です。

手順の①で登記事項証明書を取るのは法務局です。登記の内容や名義に疑問がある場合、ここでの説明は一般情報にとどまるため、司法書士へ相談してください。

なお、確認の結果は日付とともに記録しておきましょう。区域の指定や地図は見直されることがあるため、売り出しから時間がたった場合は、契約前に改めて最新の情報を確かめるのが安心です。

わかったこと・わからないことの伝え方

がけや擁壁のある土地では、すべてを調べ尽くしてから売り出す必要はありません。大切なのは、確認した事実と、確認できなかった事項を分けて伝えることです。売主が知っている過去の出来事、たとえば大雨のときに擁壁の下から水が出ていた、擁壁のひびを補修したことがある、といった情報は、売主しか知らないことが多く、買主にとっては重要な判断材料になります。

売買の際には、物件の状況について売主が知っていることを書面にまとめて買主に示すのが一般的です。ここで、記憶があいまいなことを断定して書かないようにします。「補修した年は不明」「擁壁の築造時期の記録なし」のように、わからないことはわからないと書くほうが、後の行き違いを防げます。

また、擁壁の作り直しが必要になった場合の費用を誰がどう見込むかは、価格や引き渡しの条件と一緒に話し合う事項です。売主が先に工事をするのか、現状のまま価格に反映させるのか、建築士の調査を売り出し前に入れるのかは、土地の状況と売り方によって変わります。不動産会社と相談しながら、調べる範囲と費用の見通しを決めていきましょう。

伝え方の例を挙げます。仮に、区域は確認済み、擁壁の記録は見つからず、十数年前に一度だけ大雨で裏の擁壁の下から水がにじんだことがある、という土地なら、「盛土規制法の区域内(市の詳細図で確認)、土砂災害警戒区域は区域外(ハザードマップで確認)、裏の擁壁は築造時期・記録とも不明、過去に一度大雨時に水のにじみあり、その後の補修なし」と、出典と時期を添えて並べます。こうしておくと、買主側の専門家も確認すべき点をすぐに絞り込めます。

トリプルギブへのご相談

株式会社トリプルギブは岡山市南区を拠点に、土地の売買・仲介と分譲開発を行っており、公式CASEには分譲地や住宅用地の取引実績を掲載しています。高低差や擁壁のある土地は、道路との関係や造成の経緯によって、買主の検討の仕方や売り方の選択肢が変わります。

ご相談をいただいたら、物件の調査をもとに根拠のある査定を出し、仲介で売るか買取を検討するかを含めて売却方針を明確にしていきます。区域の確認や擁壁の状況の整理も、調査の中で一緒に進めます。擁壁の安全性の判断が必要な場合や、境界・名義の整理が必要な場合は、建築士や土地家屋調査士、司法書士など、それぞれの専門家に相談すべき事項を切り分けてご案内します。高低差のある土地は、平坦な土地と同じ見方では価値を測りにくい面があります。敷地の使い方や造成の可能性も含めて、買主から見た検討材料をそろえることを重視しています。資料がそろっていない段階でも、まずはお手元にあるものをお知らせください。

よくある質問

Q. 擁壁に小さなひびがあります。売る前に補修したほうがよいですか。

先に補修すると見た目は整いますが、ひびの原因がわからないまま表面だけ直すと、かえって状態を判断しにくくなることがあります。まずはひびの位置と幅を写真で記録し、いつ頃から見られるかをメモしておきましょう。補修するかどうかは、専門家の意見や売り方の方針と合わせて決めるのが順番です。補修した場合は、その時期と内容を買主に伝えられるようにしておいてください。

Q. 盛土規制法の区域に入っていると、それだけで売れにくくなりますか。

区域に入っていること自体は、その土地が危険だと判定されたという意味ではありません。区域内では一定規模以上の盛土や切土の工事に許可や届出が必要になるため、買主が造成や擁壁の工事を計画する場合に手続きが増える、という影響が中心です。どの程度の工事が対象になるかは区域の種類と工事の規模で異なるので、計画がある買主には開発指導課での確認を勧めるとよいでしょう。

Q. 土砂災害警戒区域と特別警戒区域では、売却への影響はどう違いますか。

警戒区域では、売買の際に区域内であることが重要事項として説明されます。特別警戒区域では、それに加えて住宅地分譲などの特定の開発行為に許可が必要になり、居室のある建物には構造の規制がかかります。買主が建てる建物の設計や費用に直接関わるため、特別警戒区域かどうかは特に早めに確かめ、価格や売り方の検討に反映させることが大切です。

Q. 倉敷市の土地でも、同じ確認の手順で大丈夫ですか。

書類を集める、現地を記録する、区域を調べる、という流れ自体は同じように使えます。ただし、がけ条例の扱いや盛土規制法の区域、相談窓口は自治体ごとに異なります。倉敷市の土地であれば、倉敷市の公式サイトや岡山県の公式サイトで、区域の指定状況と担当窓口を確認してください。市外の物件では、市の案内をそのまま当てはめないよう注意が必要です。

この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。

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編集方針:確認できる事実と一般的な判断のポイントを区別し、価格・期間・検索順位を保証する表現は用いません。

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