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SELLING JOURNAL / 費用・税金

岡山で不動産を売ったときの譲渡所得の計算と所有期間5年の考え方

この記事の確認者

代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

岡山市南区新保の建売住宅
写真:岡山市南区新保 建売住宅(公式サイト掲載の取引実績)
まず、ここから

譲渡所得は「売った金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で計算し、給与などとは分けて課税されます。税率は、売った年の1月1日時点の所有期間が5年を超えるか(長期)、5年以下か(短期)で変わります。数字は国税庁の令和8年4月1日現在の案内に基づく一般情報です。

譲渡所得の計算式と「分離課税」

国税庁の案内では、土地や建物を売ったときの所得は、給与や事業の所得と合計せずに分けて計算する「分離課税」とされています。計算式は「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額」です。収入金額は基本的に売却代金、取得費はその不動産を手に入れるためにかかった金額、譲渡費用は売るために直接かかった費用を指します。

大切なのは、売却価格だけでは税金が決まらないという点です。同じ価格で売っても、買ったときの金額や売るための費用をどれだけ根拠をもって示せるかで、課税される金額は大きく変わります。計算の結果がマイナス、つまり買ったときより安く売れた場合は、譲渡所得の税金はかかりません。

岡山市内の自宅を住み替えで売る場合も、相続した実家や土地を売る場合も、出発点はこの式です。この記事では、式の三つの要素(取得費・譲渡費用・所有期間)を順に見たうえで、仮の数字で計算し、申告までの手順を整理します。

なお、ここでいう収入金額は、通常は買主から受け取る売買代金です。不動産会社に支払う仲介手数料などを差し引いた手取り額ではない点に注意しましょう。差し引く費用は、式の中で譲渡費用として別に数えます。

取得費:建物は「減価償却費相当額」を差し引く

国税庁の案内では、取得費には購入代金や建築代金、購入手数料のほか、設備費や改良費、購入時の登録免許税や不動産取得税、印紙税、土地の測量費や造成費なども含まれるとされています。

注意したいのは建物です。建物は年数とともに価値が減るため、購入代金などの合計から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額が取得費になります。土地は減価償却しません。自宅など事業に使っていない建物の場合、国税庁の案内(No.3261)では「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」で計算し、償却率は耐用年数の1.5倍に対応する旧定額法の率を使うとされています。たとえば木造は0.031、鉄筋コンクリート造は0.015です。経過年数は6か月以上の端数を1年に切り上げ、6か月未満は切り捨てます。差し引く額は取得価額の95%が上限です。

このため、土地と建物を一括で買った場合は、契約書で土地と建物の代金がどう分かれているかが計算に影響します。内訳が書かれていない契約もあるため、早めに契約書を確認しておくと安心です。

取得費が分からないときの5%と、資料を探す価値

購入時の売買契約書や領収書が見つからず取得費が分からない場合、国税庁の案内では、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます(概算取得費)。先祖から引き継いだ土地や、買った時期が古い不動産を想定した取り扱いで、実際の取得費が5%より少ない場合でも5%を使えるとされています。国税庁は、3,000万円で売った場合の概算取得費を150万円とする例を示しています。

ただし、実際の取得費が5%より大きいのに資料がないため5%で計算すると、課税される金額が大きくなり不利になります。特に購入から年数がそれほど経っていない物件や、建物を新しく建てた土地では、差が大きくなりやすい点に注意が必要です。

資料を探すときは、①自宅の書類箱や金庫、②購入時の仲介会社や建築会社の控え、③住宅ローンを組んだ金融機関に提出した書類の写し、④通帳の振込記録、などが手がかりになります。どの資料が取得費の根拠として認められるかは個別の判断になるため、見つかった資料を持って税務署や税理士に確認するのが確実です。

譲渡費用に入るもの・入らないもの

譲渡費用として国税庁が挙げている主なものは、①仲介手数料、②売主が負担した売買契約書の印紙税、③貸家を売るために借家人に支払った立退料、④土地を売るためにその上の建物を取り壊した費用と損失、⑤より有利な条件で売るために、既に結んでいた売買契約を解除したときの違約金、などです。

一方で、修繕費や固定資産税など、その資産の維持や管理のためにかかった費用は譲渡費用にならないとされています。売る前に長く空き家だった実家の草刈りや管理費、毎年の固定資産税は、負担感があっても譲渡費用としては差し引けない、ということです。

売却の準備で支払った費用には、判断が分かれるものもあります。たとえば測量や残置物の処分など、売るために必要だったのか、普段の管理の延長なのかで扱いが変わり得る費用です。領収書は日付と内容がわかる形ですべて残し、どの費用を何のために払ったかのメモを添えておくと、申告の際に税理士や税務署へ確認しやすくなります。

取壊し費用については、建物を残したまま売るか、更地にして売るかで発生の有無が変わります。売り方を決める段階で、取壊しが譲渡費用として扱えるかどうかも含めて、費用の見込みを比べておくと判断しやすくなります。

所有期間は「売った年の1月1日」で判定する

税率を決める長期・短期の区分は、国税庁の案内では、売った年の1月1日において所有期間が5年を超えるものが長期譲渡所得、5年以下のものが短期譲渡所得です。売った日ではなく「売った年の1月1日」で数える点が、最も間違えやすいところです。

仮に2021年6月に取得した土地を考えます。2026年中に売ると、2026年1月1日時点の所有期間は4年7か月なので短期になります。取得からちょうど5年を過ぎた2026年7月に売っても同じです。2027年1月1日時点では5年7か月となるため、2027年中の売却なら長期になります。つまり「取得年+6年」の年に入ってから売ると長期、と覚えておくと確認しやすくなります。

もう一つの注意点は、相続や贈与で取得した不動産です。国税庁の案内では、亡くなった方や贈与した方の取得時期を引き継ぐとされています。親が数十年前に買った実家を相続してすぐに売る場合でも、親の取得日から数えるため、長期になることが多いのです。相続した日を基準にして短期だと思い込まないよう、親の取得日を登記事項証明書や当時の契約書で確認しましょう。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の比較
項目長期譲渡所得短期譲渡所得
判定売った年の1月1日時点で所有期間が5年超売った年の1月1日時点で所有期間が5年以下
所得税15%30%
住民税5%9%
復興特別所得税所得税額の2.1%(平成25年から令和29年までの各年分)所得税額の2.1%(同左)
相続・贈与で取得した場合亡くなった方・贈与した方の取得時期を引き継いで判定同左
国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)をもとに整理。マイホームの軽減税率など特例がある場合は税率が異なります。

仮の数字で計算してみる(長期と短期、5%との比較)

ここでは考え方をつかむため、仮の数字で計算します。実在の取引ではなく、特別控除などの特例は使わない前提です。仮に、土地1,000万円・木造の建物1,500万円で購入した家を、経過年数15年の時点で2,500万円で売り、仲介手数料や印紙税などの譲渡費用が90万円かかったとします(購入時の諸費用は省略)。

建物の減価償却費相当額は、1,500万円×0.9×0.031×15年=627万7,500円です。建物の取得費は1,500万円-627万7,500円=872万2,500円、土地と合わせた取得費は1,872万2,500円になります。譲渡所得は、2,500万円-(1,872万2,500円+90万円)=537万7,500円です。

長期の場合は、所得税が15%で約80万7千円、復興特別所得税がその2.1%で約1万7千円、住民税が5%で約26万9千円、合計で約109万円です。同じ利益が短期だった場合は、所得税30%で約161万3千円、復興特別所得税約3万4千円、住民税9%で約48万4千円、合計で約213万円となり、およそ2倍の差になります。

もし購入時の資料がなく概算取得費5%(125万円)で計算すると、譲渡所得は2,285万円に増え、長期でも所得税だけで約343万円になります。実際の申告では端数の処理などがあるため、この数字はあくまで目安です。

相続した不動産を売るときの取得費と特例

相続した実家や土地を売るときは、取得費と取得時期をどちらも亡くなった方から引き継ぎます。国税庁の案内(No.3270)では、亡くなった方が買ったときの代金や購入手数料をもとに取得費を計算し、相続した人が支払った登記費用や不動産取得税も取得費に含めるとされています。ただし、取得費が分からず5%の概算取得費を使う場合は、相続人の登記費用などを足すことはできません。

相続税を納めた人には、取得費加算の特例があります。相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売った場合、納めた相続税のうち売った財産に対応する額を取得費に加えられるとされています(売却益の範囲内)。売る時期によって使えるかどうかが分かれるため、相続税の申告をした方は期限を確認しておきましょう。

親が一人で住んでいた古い家を売る場合は、空き家の3,000万円特別控除が使えることがあります。岡山市の案内では、昭和56年5月31日以前に建てられた家やその敷地を、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが要件で、特例の期限は令和9年12月31日までの売却です。令和6年1月1日以後の売却で相続人が3人以上の場合は、控除額が2,000万円になると案内されています。この特例では、市が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」を税務署へ提出します。岡山市内の物件は、建築指導課空家対策推進室へ書類を郵送して申請すると案内されています。倉敷市など他の市町の物件は、それぞれの公式サイトで窓口を確認してください。

マイホームの特例と、確定申告までの手順

自分が住んでいた家を売る場合は、所有期間に関係する特例もあります。国税庁の案内では、マイホームを売ったときは3,000万円の特別控除が使える場合があり、住まなくなった家なら、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。親族など特別の関係がある人への売却や、前年・前々年にこの特例を受けている場合などは対象外とされています。さらに、売った年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間が10年を超えていれば軽減税率の特例があり、課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分の所得税は10%です。3,000万円控除と軽減税率は重ねて使えると案内されています。

申告までの手順は、①売却の契約前に取得時期と取得費の資料を集める、②決済後に売却代金・譲渡費用の領収書をまとめる、③使えそうな特例と必要書類(空き家特例なら市の確認書など)を確認する、④売った翌年の2月16日から3月15日までに、確定申告書と申告書第三表(分離課税用)を提出する、の流れです。特例で税額がゼロになる場合でも、適用を受けるには確定申告が必要なものがあります。

この記事は国税庁などの案内に基づく一般情報で、個別の事情で取り扱いが変わります。提出先は住所地を管轄する税務署で、管轄は国税庁のサイトで確認できます。計算や特例の判断に迷うときは、税理士または税務署に相談してください。住民税も翌年度に課税されるため、資金計画には税金分を残しておきましょう。

売る前に整える資料のチェックリストと確認先

譲渡所得を正しく計算するには、買ったときと売るときの両方の資料が必要です。売り出しを決める前の段階で、次の項目を確認しておくと、申告の時期になって慌てずに済みます。

①購入時(または建築時)の売買契約書や請負契約書と、代金の領収書。②購入時に支払った仲介手数料、登記費用、不動産取得税などの領収書。③設備の追加や改良にかかった工事の契約書と明細。④土地と建物の代金の内訳が分かる資料(契約書に記載がなければ当時の見積書など)。⑤建物の構造と建築時期が分かる資料(登記事項証明書など)。⑥相続や贈与で取得した場合は、亡くなった方や贈与した方の取得時期と金額が分かる資料、相続税を納めた場合は申告書の控え。⑦今回の売却でかかる仲介手数料、印紙税、取壊し費用などの領収書。

確認先は内容によって分かれます。所得税の計算や特例の要件は住所地の税務署、空き家特例の確認書は物件のある市町の担当窓口(岡山市内なら建築指導課空家対策推進室)です。登記の内容や名義の整理が必要な場合は司法書士、税額の試算や特例の組み合わせは税理士が相談先になります。

売却から確定申告までの流れ
  1. 01
    取得時の資料を探す

    売買契約書・請負契約書・領収書、相続なら亡くなった方の取得時期と金額

  2. 02
    所有期間を確認する

    売る予定の年の1月1日時点で5年を超えるか

  3. 03
    売却・決済

    仲介手数料や印紙税、取壊し費用などの領収書を保管

  4. 04
    特例を確認する

    マイホームの特例、空き家特例(市の確認書)、取得費加算など

  5. 05
    確定申告

    売った翌年の2月16日から3月15日まで、申告書第三表(分離課税用)を添えて提出

  6. 06
    納税と資金計画

    所得税は申告期限までに納め、住民税は翌年度に課税

一般的な流れです。個別の判断は税理士または税務署に確認してください。

トリプルギブへのご相談

株式会社トリプルギブは、岡山市南区を拠点に、岡山市全域・倉敷市・瀬戸内市を中心とした不動産の売買・仲介を行っています。ご相談後は物件の調査をもとに根拠のある査定を提出し、売却方針を明確にしたうえで仲介か買取かを確定します。

税額の計算や特例の判断そのものは税理士の領域ですが、売却の準備として、取得時の契約書や領収書、登記の内容、建物の構造や建築時期など、譲渡所得の計算に関わる資料の確認を一緒に進められます。売る時期が1月1日をまたぐかどうかなど、税理士に相談する前に整理しておきたい点もお手伝いします。対応できるかどうかは物件ごとに判断しますので、まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 12月に売るか翌年1月に売るかで、何が変わりますか?

主に二つあります。一つは所有期間の判定で、売った年の1月1日時点で数えるため、年をまたぐだけで短期から長期に変わることがあります。もう一つは申告の時期で、確定申告は売った年の翌年2月16日から3月15日までに行うため、年をまたぐと申告と納税も1年後ろにずれます。どちらの日付で「売った」とするかは契約の内容によって考え方が分かれることもあるため、税理士や税務署に確認してください。

Q. 実際の取得費が売却額の5%より少ない場合はどうなりますか?

国税庁の案内では、実際の取得費が売った金額の5%に満たない場合でも、5%相当額を取得費にできるとされています。たとえば昔に安く買った土地で、契約書上の購入代金が5%を下回るときは、概算取得費のほうが有利になることがあります。どちらを使うかで税額が変わるため、資料がある場合も両方で計算して比べ、判断に迷う点は税理士に確認すると安心です。

Q. リフォーム費用は取得費に入れられますか?

国税庁の案内では、取得費には設備費や改良費が含まれるとされています。一方、修繕費など維持・管理のための費用は譲渡費用にもなりません。リフォームが価値を高める改良にあたるのか、元の状態に戻す修繕なのかで扱いが分かれ得るため、工事の契約書や明細を残し、内容を説明できるようにしておくことが大切です。建物部分は減価償却の対象になる点にも注意してください。

この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。

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編集方針:確認できる事実と一般的な判断のポイントを区別し、価格・期間・検索順位を保証する表現は用いません。

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