SELLING JOURNAL / 費用・税金
岡山で不動産を売った年の固定資産税・都市計画税|誰に課税され精算はどう決めるか
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

固定資産税・都市計画税は、1月1日(賦課期日)時点で登記簿上の所有者として登録されている人に1年分が課税されます。年の途中で売っても、その年度の納税義務は売主に残ります。買主との日割りの精算は法律で決まったものではなく、売買契約で起算日や基準の税額を取り決めるものです。
納税義務者は1月1日時点の所有者
総務省の固定資産税の概要では、納税義務者は土地・家屋・償却資産の所有者で、土地・家屋は登記簿上の所有者等を固定資産課税台帳に登録して課税するとされ、賦課期日は当該年度の初日の属する年の1月1日とされています。岡山市の案内でも、固定資産税の納税義務者は毎年1月1日(賦課期日)現在に市内に土地・家屋・償却資産を所有している人とされ、税率は1.4%です。
都市計画税について岡山市は、毎年1月1日現在に都市計画区域のうち市街化区域内に所在する土地・家屋の所有者が納税義務者で、税率は0.3%と案内しています。市街化区域の外にある土地・家屋には都市計画税がかからないため、売る物件によって精算の対象になる税目が変わります。都市計画税は固定資産税とあわせて納める仕組みで、納税通知書も「固定資産税・都市計画税」として一通で届きます。
どちらの税も基準は「1月1日の所有者」です。売買の契約日や代金を受け取った日ではなく、1月1日の時点で台帳に誰が所有者として登録されているかで、その年度の納税者が決まります。この点を押さえておくと、精算の話がずっと理解しやすくなります。
年の途中で売っても売主に課税される
岡山市のよくある質問では、前年11月に売買契約を結び、今年3月に所有権移転登記をした場合について、1月1日現在で登記簿に所有者として登記されている人に課税されるため、今年度の固定資産税は売主に課税されると回答しています。また、固定資産税は年税であり、月割課税制度はないとしています。
売主としては、引き渡しが済んでも、その年度分の納税通知書は自分に届き、納める義務も自分にあることを前提に準備しておく必要があります。岡山市の令和8年度の納期限は、第1期が4月30日、第2期が7月31日、第3期が9月30日、第4期が12月25日と案内されています。たとえば8月に引き渡した場合でも、第3期と第4期の納付は売主のもとに残ります。口座振替にしている方は、売却後も引き落としが続くことを家計の予定に入れておきましょう。
反対に、引き渡しと所有権移転登記が済めば、翌年1月1日の所有者は買主になるため、翌年度からは買主に課税されるのが原則です。ただし、12月末の引き渡しで登記が年明けになるような場合は、1月1日時点で登記簿上の所有者が誰になっているかで翌年度の納税義務者が変わります。引き渡しの日程を決めるときは、登記の時期と1月1日の関係も確認しておくと安心です。
買主との精算は「慣行」で、契約で決める
法律上の納税義務は売主に残りますが、実際の取引では、引き渡し日以降の分を買主が負担するよう、日割りで計算した金額を売買代金とは別に受け取る取り決めをすることが多くあります。ただし、これは法律で決まった制度ではありません。岡山市のよくある質問でも、売主と買主の間の税負担のあん分方法は、固定資産税が年税であるため特に定められておらず、1月1日から計算するか4月1日から計算するかは当事者で話し合って決めるよう案内しています。
そのため、契約書で決めておきたいのは次の4点です。①精算をするかどうか。②起算日を1月1日にするか4月1日にするか。③どの年度の税額を基準にするか。④精算金をいつ、どのように受け渡すか(引き渡し時に残代金とあわせて受け取るのか、など)。このほか、引き渡し日当日をどちらの負担に含めるか、1円未満の端数をどう扱うかも、計算書の数字に影響します。
仲介会社から精算の計算書が示されたら、起算日と基準にした税額が契約書の内容と一致しているかを売主自身でも確かめましょう。精算金は買主から受け取るお金ですが、市に納める税額そのものは変わらないため、納付を忘れないことも大切です。
起算日の違いで精算金はどう変わるか(計算例)
ここでは考え方をつかむため、仮の数字で計算します。実在の取引ではありません。仮に、固定資産税と都市計画税の年税額が合計12万円の家を、平年の7月1日に引き渡し、引き渡し日から買主の負担とする取り決めだったとします。
1月1日を起算日にする場合、1年を365日として、売主の負担は1月1日から6月30日までの181日分、買主の負担は7月1日から12月31日までの184日分です。買主から受け取る精算金は、12万円×184÷365で約6万493円になります。
4月1日を起算日にする場合は、4月1日から翌年3月31日までの1年を基準にします(この例では365日)。売主の負担は4月1日から6月30日までの91日分、買主の負担は7月1日から翌年3月31日までの274日分となり、精算金は12万円×274÷365で約9万82円です。
同じ物件・同じ引き渡し日でも、起算日の違いだけでおよそ3万円の差が出ます。どちらが正しいということはなく、契約で決めた方法が基準です。実際には、うるう年を366日で数えるか、端数を切り捨てるかなども契約や計算書の取り決めによるため、この数字はあくまで目安としてご覧ください。
| 項目 | 1月1日起算 | 4月1日起算 |
|---|---|---|
| 基準にする1年 | 1月1日〜12月31日 | 4月1日〜翌年3月31日 |
| 売主の負担日数 | 181日(1月1日〜6月30日) | 91日(4月1日〜6月30日) |
| 買主の負担日数 | 184日(7月1日〜12月31日) | 274日(7月1日〜翌年3月31日) |
| 買主から受け取る精算金 | 約6万493円 | 約9万82円 |
どの年度の税額を基準にするか(年をまたぐ引き渡し)
精算でもう一つ迷いやすいのが、基準にする税額です。新しい年度の納税通知書が手元に届く前に引き渡す場合は、新年度の税額がまだ分からないことがあります。その場合に前年度の税額で計算するのか、新年度の通知が届いてから差額を調整するのかは、契約で決めておかないと後で認識がずれる原因になります。
仮に、2月15日に引き渡す場合を考えてみます。1月1日起算なら、その年の1月1日の所有者は売主なので、その年度分の税額のうち2月15日以降の分を買主が負担する計算になります。一方、4月1日起算では、2月15日は前の年度の期間中にあたるため、前年度分の残り(2月15日から3月31日まで)と、4月1日から始まる新年度分をどう扱うかを、それぞれ決めておく必要があります。新年度分も1月1日の所有者である売主に課税されるため、取り決めがあいまいだと、売主が1年分を納めたまま精算の対象から漏れてしまうことがあります。
年末や年度末をまたぐ引き渡しになりそうなときは、契約前に「どの年度の、いくらの税額を、何日分精算するか」を一文で説明できる状態にしておくと安心です。
建物を取り壊して売る場合の考え方
古い家を取り壊して土地として売る場合も、基準は1月1日です。岡山市のよくある質問では、今年2月に家屋を取り壊した場合でも、固定資産税は1月1日現在に所有している固定資産に課税されるため、今年度は取り壊した家屋に対して課税されると回答しています。年の途中で解体しても、その年度の家屋分の税金がなくなるわけではありません。
土地の税額にも影響があります。岡山市の案内では、住宅が建っている土地には課税標準の特例があり、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は固定資産税の課税標準が評価額の6分の1、それを超える部分(一般住宅用地)は3分の1とされています。都市計画税では、それぞれ3分の1、3分の2です。この住宅用地かどうかの判定も1月1日が基準とされています。仮に、解体した土地が翌年1月1日の時点でまだ売主の所有で、住宅も建っていなければ、翌年度は住宅用地の特例が使えない前提で課税される可能性があります。
手続きとして、登記されている家屋は法務局に滅失登記を申請し、未登記の家屋や滅失登記が遅れる場合は、各区の市税事務所・支所・地域センターに家屋滅失届を出すよう案内されています。住宅を取り壊して住宅用地でなくなったときは、市税事務所の資産税土地係に住宅用地変更申告書を出す場合の一つとされています。解体と売却の時期は、税額の面からも買主側と早めにすり合わせておきましょう。
税額の確かめ方と岡山市での確認先
精算の計算は、毎年届く納税通知書と課税明細書がもとになります。まず最新年度の書類を探し、固定資産税と都市計画税の年税額、物件ごとの内訳を確認しましょう。土地と建物で所有者が違う、複数の土地を持っていて一部だけ売る、といった場合は、売る物件の分だけを切り出して計算する必要があるため、明細の行を一つずつ照らし合わせます。
書類が見当たらないときは、岡山市の閲覧制度が使えます。固定資産税の納税義務者や同一世帯の家族、代理人などは、各区の市税事務所・支所・地域センターで、自己の固定資産の台帳を名寄(課税の明細)の形で確認でき、現年度と過年度10年分が対象とされています。閲覧は通年で、平日の午前8時30分から午後5時15分です。また、土地の価格を近隣と比べたいときのために、毎年4月には縦覧の期間が設けられています(令和8年度は4月1日から4月30日まで)。
土地・家屋についての問い合わせ先は、物件が所在する区の市税事務所とされています。納期は市の「納付期限」のページで確認できます。倉敷市や瀬戸内市など岡山市以外の物件は、納期や窓口、閲覧の手続きをそれぞれの市の公式サイトで確認してください。
契約前から引き渡し後までの手順
精算で揉めないために、売主は時期ごとに次のことを確認しておきましょう。
【媒介契約・価格を決める頃】①最新年度の納税通知書と課税明細書を用意し、年税額と、都市計画税がかかっているかを確かめる。②解体して売るかどうかを検討している場合は、1月1日との関係で翌年度の税額がどう変わりうるかを、市税事務所の案内で確認する。
【売買契約の前】③精算の有無、起算日、基準にする年度の税額、受け渡しの時期を契約書の条項で確認する。④引き渡し予定日が年末や3月前後にかかる場合は、翌年度・新年度分の扱いを文章で決めておく。
【引き渡しの時】⑤仲介会社が作る精算書の日数と税額を、契約書と照らし合わせる。⑥まだ納期が来ていない期の分は、売主が納めることを確認し、口座振替の場合は引き落とし口座の残高に注意する。
【引き渡しの後】⑦残りの期を納め忘れない。⑧翌年1月1日の時点で登記が買主に移っていることを確認する。解体した場合は、滅失登記や家屋滅失届が済んでいるかもあわせて確認しましょう。
精算金を譲渡所得の計算でどう扱うかは、ここでは一般情報にとどめます。確定申告が必要な方は、税理士や税務署に確認することをおすすめします。
- 最新年度の納税通知書と課税明細書を用意した
- 都市計画税がかかっている物件かを確認した
- 精算をするか、起算日を1月1日・4月1日のどちらにするかを契約書で確認した
- 基準にする年度の税額と、精算金の受け渡し時期を確認した
- 年末・年度末をまたぐ場合の翌年度・新年度分の扱いを決めた
- 精算書の日数と税額を契約書と照らし合わせた
- まだ納期が来ていない期の分を自分で納める準備をした
- 解体した場合、滅失登記や家屋滅失届の手続きを確認した
精算でよくある行き違いと防ぎ方
精算の金額そのものは小さく見えても、引き渡しの直前に認識の違いが見つかると、残代金の受け渡しの場で慌てることになります。ここでは、起こりやすい場面を仮の例で整理します。
場面①:売主は1月1日起算のつもりで計算していたが、買主側の資料は4月1日起算になっていた。前の計算例のとおり、起算日が違うだけで精算金は大きく変わります。契約書の条項を読み合わせ、どちらで計算するかを最初に一致させておくことが一番の予防です。
場面②:土地と建物のほかに、私道の持分や隣の小さな土地も同じ明細に載っていて、どこまでを精算に含めるかがあいまいだった。売買の対象に含まれる土地・建物の行だけを課税明細書から拾い出し、その合計額を基準にすることを確認しておきましょう。
場面③:解体して更地で引き渡す予定だったが、解体が年をまたいだため、翌年度の税額の見込みが立たなかった。解体の時期と1月1日の関係を早めに整理し、翌年度分をどう扱うかを契約前に決めておくと、後からの調整を減らせます。
いずれも、契約前に「起算日・対象物件・基準の税額」の3点を書面でそろえることで防ぎやすくなります。
トリプルギブへのご相談
株式会社トリプルギブは、岡山市南区を拠点に岡山市全域・倉敷市・瀬戸内市を中心とした不動産の売買・仲介を行っています。ご相談後は物件の調査をもとに根拠のある査定を提出し、売却方針を明確にしたうえで仲介か買取かを確定します。
固定資産税の精算のように、法律で決まっている部分と契約で取り決める部分が混ざる項目は、契約前に売主として確認すべき点を整理してお伝えします。引き渡しの時期を決める際には、1月1日や年度の切り替わりとの関係も含めてご一緒に確認します。古い家を解体して土地として売るか、建物付きのまま売るかで迷っている場合も、税額の変わり方や手続きの順番を踏まえて、売り方の選択肢を一緒に整理できます。
課税明細書が見当たらない、どの行が売る物件なのか分からないといった段階からでも構いません。手元の書類を見ながら、確認すべき点を一つずつ洗い出します。税務上の判断は税理士や税務署でご確認ください。対応できるかどうかは物件ごとに判断しますので、まずはご相談ください。
よくある質問
Q. 売却後に届いた納税通知書は、買主に回して納めてもらえますか?
法律上の納税義務は1月1日時点の所有者である売主にあるため、通知書の税額は売主が市に納めます。岡山市の案内でも、年の途中で売買しても今年度は売主に課税されるとしています。買主に負担してもらう分は、売買契約で取り決めた精算金として受け取るのが一般的な形です。買主が直接市に納める仕組みではない点に注意しましょう。
Q. 固定資産税の精算をしない取り決めにすることはできますか?
岡山市のよくある質問では、売主と買主の間のあん分方法は特に定められておらず、当事者で話し合って決めるよう案内されています。精算をするかどうかも含めて契約で決める事柄です。ただ、精算をしない場合は売主が1年分を負担することになるため、売買価格とのバランスを考えたうえで、契約書にその旨をはっきり書いておくことが大切です。
Q. 市街化区域の外にある土地を売る場合も、都市計画税を精算しますか?
岡山市の案内では、都市計画税の納税義務者は1月1日時点で都市計画区域のうち市街化区域内に所在する土地・家屋の所有者とされています。市街化区域の外の物件にはかからないため、その場合は固定資産税だけが精算の対象になります。課税明細書に都市計画税の欄があるかどうかで確認でき、分からなければ所在区の市税事務所に問い合わせましょう。
Q. 倉敷市や瀬戸内市の物件でも、考え方は同じですか?
固定資産税は市町村が課税する税で、1月1日を賦課期日として所有者に課税する仕組みは総務省の固定資産税の概要でも示されています。そのため、1月1日の所有者に課税され、買主との精算は契約で決めるという基本は同じと考えてよいでしょう。ただし、納期の月や日付、窓口、閲覧の手続きは市ごとに異なるため、それぞれの市の公式サイトで確認してください。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
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