SELLING JOURNAL / 物件種別
岡山で土地を売る前の境界確定と測量|必要になる場面と進め方
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

境界標が見当たらない、登記の面積と実際が合っていそうにない、土地を分けて売る(分筆する)、といった場合は売却前に測量と境界の確認を検討します。測量と表示の登記は土地家屋調査士の業務で、隣地の方や道路管理者との立会いが必要になるため時間がかかります。話し合いで決まらないときは、法務局の筆界特定制度もあります。
「境界」と「筆界」は同じではない
日常的に「境界」と呼ぶものには、2つの意味が混ざっています。法務省の案内によると、筆界とは土地が登記されたときにその土地の範囲を区画するものとして定められた線で、所有者どうしの合意によって変更することはできません。一方、所有者どうしが「ここまでが自分の土地」と考えている所有権の範囲は、筆界と一致しないこともあります。
売却の場面では、買主に引き渡す土地の範囲をはっきりさせる必要があります。そのために、登記上の筆界がどこにあるかを確認し、隣地の方とも認識をそろえておくことが大切です。塀の位置や長年の使い方が筆界と同じとは限らない、という前提で考えると、測量会社や不動産会社からの説明が理解しやすくなります。
なお、この記事で扱う登記や筆界の話は一般情報です。個別の土地の判断は、土地家屋調査士などの専門家の調査を前提にしてください。登記の名義や相続の手続きが関わる場合は、司法書士への相談もあわせて検討しましょう。
測量や境界の確認が必要になる主な場面
売却前に検討したいのは次のような場面です。①境界標が見当たらない。法務省は、相続や宅地造成などで目印が失われ、境界が不明確になる例が多いとしています。②登記の面積が実際と違っていそうで、面積を基準に価格を決めたい。③広い土地を分けて一部だけ売る、または複数区画に分けて売る(分筆登記が必要)。④塀やブロックがどちらの土地にあるのかはっきりしない、越境しているものがある。⑤道路との境を正確に示す必要がある。
道路との境は、建物を建てられるかどうかの判断にも関わるため、買主が気にするポイントです。いずれも、売買契約の前に分かっていれば、価格や引渡しの条件に反映できます。契約後に判明すると引渡しが遅れる原因になるため、早めの確認が売主の負担を減らします。
反対に、境界標がそろっていて、過去の測量図や隣地との確認書面も残っている土地なら、改めて測量しなくても説明できる場合があります。必要かどうかは「資料」と「現地」を照らし合わせて判断するのが出発点です。
相続した土地を売る場合は、親の代に境界の話し合いがあったかどうかを家族が知らないことも少なくありません。古い書類の箱や、購入当時に関わった不動産会社の書類に手がかりが残っていることもあるので、処分する前に一度目を通しておきましょう。
手元の書類と法務局で取れる図面をそろえる
最初にするのは、すでにある資料を集めることです。手元では、購入時や相続時の売買契約書、過去の測量図、隣地との境界確認書、境界標を設置したときの記録などを探します。見つからなくても、法務局で取得できる資料があります。
法務局では、登記事項証明書に加えて、地図証明書や、地積測量図などの図面証明書を請求できます。法務局の案内では、これらはオンラインで交付請求ができ、郵送のほか指定した登記所での窓口受取も選べるとされています。地積測量図は分筆などの登記の際に提出された図面なので、土地によっては存在しないこともあります。
不動産登記の管轄は、岡山地方法務局の案内では、岡山市・玉野市は本局、倉敷市・早島町は倉敷支局、瀬戸内市・和気町は備前支局です(2026年10月4日確認)。図面と現地の境界標の位置を比べると、測量が必要かどうかの見当がつきます。
地図や公図は土地の位置や形の関係を示すものですが、古い図面では現地の形とずれていることもあります。図面だけで境界を決めつけず、あくまで現地確認の手がかりとして使うのがよいでしょう。
現地で境界標を探すときのポイント
資料がそろったら、次は現地です。売主が自分でできる確認として、土地の角になりそうな場所を順に見て回り、境界石やコンクリート標、ブロック塀の上や道路の縁石に打ち込まれた金属鋲、プレートなどがないかを探します。落ち葉や土、砂利に埋もれていることも多いため、角の周りを少し掘ったり掃いたりすると見つかる場合があります。
見つけた目印は、周りの景色が分かる写真と、近寄った写真の両方を撮り、図面のどの角に当たるかをメモしておきます。目印が傾いている、欠けている、工事で動かされた形跡がある、といった気づきも記録します。こうした記録は、土地家屋調査士に相談するときの材料になり、現地調査の手間を減らすことにもつながります。
一方で、見つけた目印を自分で動かしたり、新しく杭を打ったりするのは避けてください。境界標は隣地の方との共通の目印であり、勝手に動かすと信頼関係を損ねるもとになります。目印の位置に疑問があっても、判断は測量と立会いの場に委ねるのが安全です。
土地家屋調査士に依頼する内容と、隣地の方との確認
法務省によると、土地家屋調査士の業務には、不動産の表示に関する登記に必要な土地や家屋の調査・測量、その登記の申請手続きの代理、筆界特定の手続きの代理などがあります。分筆登記では、登記所に備え付けられた地図や地積測量図などの資料、現地の状況、隣接所有者の立会いなどをもとに筆界を確認すると説明されています。
実務では、隣地の所有者に現地で立ち会ってもらい、境界の位置を確認し合うことが一般的です。隣地の所有者が分からない場合について、法務省は令和4年(2022年)10月3日から全国の法務局で運用を見直したと案内しています。所有者が見つからない土地が隣にあるときは、早い段階で調査士に伝えておきましょう。
境界標について法務省は、境界石やコンクリート標など永続性のあるものを埋設するのが有効で、ブロック塀などには金属鋲で表示する方法もあると説明しています。測量時の木杭は仮のもので、年数がたつと腐ったり動いたりするとされています。売却に合わせて境界標を設置すれば、買主への説明もしやすくなります。
依頼の際は、何をしてもらうのかを最初にはっきりさせましょう。現況を測るだけなのか、隣地や道路との立会いまで含めるのか、境界標の設置や分筆の登記申請まで行うのかで、作業の量も費用も変わります。立会いの結果を残す境界確認の書面を作るかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
道路との境界は市の窓口で立会いを申請する
隣地との境と同じく見落としやすいのが、道路との境です。岡山市の案内では、市道・県道および一部の国道と私有地の境界を確定したいときは申請が必要で、まず境界立会願いを窓口に提出し、現地で立会いを行い、必要書類が整ったら境界確定申請を行う流れです。窓口として、都市整備局道路部道路港湾管理課のほか、各区の地域整備課や支所の産業建設課が案内されています。
また、市管理道路とそれに接する土地の境界や、道路の幅員は、各区役所地域整備課、北区役所土木農林分室、各支所産業建設課で調べられると市は案内しています。売り出し前に、すでに境界が確定している道路かどうかを確かめておくと、立会いが必要かどうか判断しやすくなります。
市内では地籍調査も行われており、市は地籍図と地籍簿を土地取引などの基礎データになるものと説明しています(担当は農村整備課)。倉敷市や瀬戸内市の土地は、それぞれの市の公式サイトで道路境界の窓口を確認してください。
なお、ここでいう道路は道路管理者が管理する道路を指します。私道に面した土地では、その私道の所有者が隣地として立会いの相手になることがあるため、私道の登記上の所有者も早めに調べておきましょう。
- 01資料集め
契約書・過去の測量図・境界確認書を探し、法務局で地図や地積測量図を請求する
- 02現地確認
境界標の有無と位置、塀やブロックの位置を写真で記録する
- 03調査士へ相談
資料と現地をもとに、測量が必要か、期間と費用の見積もりを確認する
- 04立会い
隣地の所有者や道路管理者と現地で境界を確認する
- 05境界標の設置と登記
必要に応じて境界標を埋設し、分筆などの登記を申請する
- 06売買条件へ反映
面積の扱いと境界明示の時期を契約書に定める
具体例:古い住宅地の土地を2つに分けて売る場合
仮に、親から相続した市内の土地を、2つの区画に分けて売るとします。隣地は3方向にあり、1方向は市道に面している、境界標は道路側の1か所しか見当たらない、地積測量図は法務局に無い、という前提です。これは説明のための想定で、実際の取引ではありません。
この場合、区画を分けるには分筆登記が必要で、その前提として外周の筆界を明らかにします。土地家屋調査士に依頼し、資料調査と現地の測量を行い、3方向の隣地所有者に立会いをお願いします。市道側は、市の窓口に境界立会願いを出して道路管理者との立会いを行います。境界が確認できたら境界標を設置し、分筆の登記を申請します。
隣地の1軒が相続で所有者が複数になっていると、全員と連絡を取るだけでも時間がかかります。日程が合わなければ立会いが先に延びることもあります。売り出しの時期を決める前に、この段取りにどれだけ時間がかかりそうかを調査士に確認しておくと、無理のない計画が立てられます。相続登記が済んでいない場合は、司法書士への相談も必要です。
また、分けた区画の一方が道路に接しない形になると、建物を建てられる土地として売りにくくなります。どこで線を引くかは、接道の条件や区画の形も見ながら、測量の前に不動産会社と相談して決めておきましょう。
話し合いで決まらないときの筆界特定制度
隣地の方と認識が合わないときの手段の一つが、法務局の筆界特定制度です。法務省の案内では、筆界特定登記官が、外部の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて筆界の位置を特定する制度で、申請できるのは土地の所有者として登記されている人やその相続人などです。新たに筆界を決めるのではなく、もともとの筆界を調査して明らかにするもので、所有権の範囲を決める制度ではないとされています。
手続きは、①申請、②公告と隣地所有者への通知、③資料収集・実地調査、④測量費用の概算額の予納、⑤測量、⑥意見聴取等の期日、⑦筆界の特定、⑧通知・公告、という流れです。岡山地方法務局は標準処理期間を6か月と定めています(事案により異なります)。
手数料は土地の価格で決まり、法務省は、申請人の土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円なら申請手数料は8,000円という例を示しています。これとは別に測量費用がかかります。結果に納得できない場合は後から裁判で争うこともできます。所有権の範囲をめぐる争いがある場合は、弁護士への相談を検討してください。
売却との関係では、申請から特定まで時間がかかるため、手続き中に売買契約を進めるのは難しくなりがちです。制度を使うかどうかは、売却の時期をどこまで待てるかも含めて判断しましょう。
測量の時期と売買条件の決め方
測量をいつ行うかは、売り方と合わせて決めます。①売り出し前に測量と境界確認を終える方法は、面積と範囲が確定した状態で価格を示せるため、買主にとって分かりやすくなります。②売買契約の条件として、引渡しまでに売主が境界を明示すると定める方法もありますが、立会いが進まないと引渡しが遅れるおそれがあります。
もう一つ決めておきたいのが面積の扱いです。登記の面積で売買するのか、測量した面積で代金を調整するのかによって、測量の必要性や契約書の書き方が変わります。どちらにするかは、買主や仲介する不動産会社と事前に話し合い、契約書に明記しておきます。
費用と期間は、土地の広さや隣地の数、資料の残り方で大きく変わります。複数の土地家屋調査士から見積もりを取り、何が含まれているか(道路との立会い、境界標の設置、登記申請など)を比べてください。売却代金からの精算やローンの残る土地の扱いは、金融機関や税理士に確認が必要な場合もあります。この記事の内容は一般情報として、個別の判断は専門家と相談してください。
目安として、次の順に考えると整理しやすくなります。①資料と現地を確認して測量の要否を判断する、②要るなら見積もりと期間を確認する、③売り出し時期と面積の扱いを決める、④契約書に境界明示の時期と方法を書く。この順番を不動産会社と共有しておくと、買主との交渉でも説明がぶれにくくなります。
- 登記事項証明書と地図(公図)を取得した
- 地積測量図が法務局にあるか確認した
- 過去の測量図や隣地との境界確認書を探した
- 現地の境界標をすべて見つけ、写真を撮った
- 道路との境界が確定しているか市の窓口で確認した
- 隣地の所有者と連絡先を把握した(相続・遠方の有無も)
- 塀・ブロック・樹木などの越境がないか確認した
- 相続登記が済んでいるか確認した
- 測量の見積もりを取り、含まれる作業を比べた
トリプルギブへのご相談
トリプルギブでは、ご相談後に法務局の資料や現地の状況を調査し、根拠のある査定をご提出します。境界や測量が必要そうな場合は、その理由と、売り出し前に行うか契約条件として扱うかを含めて売却方針を明確にし、仲介か買取かを確定します。
公式CASEには、岡山市南区や中区などで区画を分けた分譲地の取引も掲載しています。測量は土地家屋調査士と連携して進めますので、境界標が見当たらない土地や、一部だけ売りたい土地、道路との境が気になる土地をお持ちの方も、まずは資料がそろっていない段階からご相談ください。手元にある図面や写真をお持ちいただければ、何が足りないかを一緒に整理します。
よくある質問
Q. 隣の土地が空き家で、所有者が誰なのか分かりません。売却をあきらめるしかないですか。
あきらめる必要はありません。まずは隣地の登記事項証明書を取り、登記上の所有者を確認するところから始めます。登記上の所有者が亡くなっていて相続人が分からない、住所に連絡がつかないといった場合について、法務省は令和4年10月3日から分筆や地積更正の登記の運用を見直したと案内しています。具体的にどう進められるかは土地ごとに異なるため、事情を土地家屋調査士に伝えて相談してください。
Q. 測量の費用は、売主と買主のどちらが負担するものですか。
法律で一律に決まっているわけではなく、売買の条件として当事者で取り決めます。売主が境界を明示して引き渡すという条件にすれば、その準備にかかる測量費用は売主側で用意することになります。誰がいつまでに何を行うかを契約書に書いておくことが大切です。見積もりを取った段階で金額と範囲を不動産会社と共有し、売り出し価格の検討に織り込んでおくと、あとで条件の食い違いが起きにくくなります。
Q. 地籍調査が終わっている地域なら、売却のときに測量はいりませんか。
地籍調査で作られた地籍図と地籍簿は、土地取引などの基礎データになるものと市は説明しており、資料としては心強い存在です。ただし、調査後に境界標が工事でなくなった、塀を作り替えたといった変化があれば、現地との照合が必要です。分筆して売る場合はあらためて測量が必要になります。自分の土地の地域で調査が済んでいるかは、農村整備課や法務局の資料で確認してください。
Q. 隣家のブロック塀が自分の土地に少しはみ出しているようです。売る前にどうすればよいですか。
まずは測量で筆界の位置を確かめ、本当に越境しているのか、どの程度なのかを図面で示せる状態にします。そのうえで、隣地の方と話し合い、将来塀を作り替えるときに筆界の内側へ戻すといった取り決めを書面に残す方法があります。書面の内容や、話し合いがまとまらない場合の対応は弁護士に相談してください。越境の事実は買主にも伝える必要があります。
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