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SELLING JOURNAL / 査定・価格

査定額・売出価格・成約価格の違いと、岡山で売出価格を決めるときの考え方

この記事の確認者

代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

岡山市中区桑野の建売住宅
写真:岡山市中区桑野 建売住宅(公式サイト掲載の取引実績)
まず、ここから

査定額は不動産会社が根拠を示して述べる価格の意見、売出価格は売主が最終的に決めて媒介契約書にも記載される募集価格、成約価格は買主と合意して契約した価格です。岡山で売出価格を決めるときは、査定の根拠と近隣の取引データを確かめ、手取りの見込みから下限を逆算し、見直しの時期と幅も先に担当者と決めておくと迷いにくくなります。

三つの価格はそれぞれ意味が違う

売却の場面では似た言葉がいくつも出てきます。①査定額は、不動産会社が「この価格なら売れる見込みがある」と考える価格の意見です。②売出価格は、売主が決めて広告や物件情報に載せる募集の価格です。③成約価格は、買主との交渉を経て実際に売買契約を結んだ価格です。査定額はあくまで意見なので、売出価格を査定額と同じにしなければならない決まりはありません。

場面で考えると違いがはっきりします。仮に、ある戸建てについて不動産会社から2,300万円前後という査定を受け、売主が2,480万円で売り出し、内覧した人との交渉の結果2,350万円で契約したとします。この場合、2,300万円が査定額、2,480万円が売出価格、2,350万円が成約価格です。手取りや税金の計算の基になるのは、実際に契約した成約価格のほうです。

三つを混同すると、「査定額で売れると思っていた」「売出価格から下がるとは思っていなかった」という行き違いが起きやすくなります。話し合いのときは、今どの価格の話をしているのかを互いに確かめておきましょう。複数の会社から査定を受けた場合も、どの会社の数字を採るかではなく、それぞれの根拠のうち納得できるものはどれかという視点で整理すると、売出価格の検討に移りやすくなります。

査定額には根拠の説明が求められている

宅地建物取引業法第34条の2第1項は、売却の媒介契約を結んだ不動産会社に、売買すべき価額やその評価額、媒介契約の有効期間、報酬などを記載した書面を作成して依頼者に交付することを求めています。同条第2項では、その価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならないとしています。

国土交通省の資料では、同省の通知「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」で、意見の根拠は価格査定マニュアルや同種の取引事例など、合理的な説明がつくものとされていることが示されています。つまり、査定額の説明を求めることは売主として遠慮することではなく、制度の上でも想定されたやり取りです。

説明を受けるときは、「なぜこの金額になるのか」を一つずつ確かめるのが近道です。たとえば、比較に使った事例の場所と時期、土地と建物をどう分けて評価したか、前面道路の幅や接道の状況、土地の形、日当たりや傾斜などをどう補正したか、といった点です。説明を書面やメモで残しておくと、後で価格を見直すときに、何が前提として変わったのかを判断しやすくなります。

査定書を受け取ったら確かめること

査定書は、結論の金額より途中の考え方を読むほうが役に立ちます。次の順に見ていくと整理しやすくなります。

①比較に使った事例:どの地域の、いつの取引か。駅や学校までの距離、土地の広さが自分の物件と近いか。②物件の評価:建物の築年数や修繕の履歴、設備の状態をどう見たか。土地は形や間口、前面道路をどう扱ったか。③補正の内容:事例と比べて有利・不利な点を、どの程度の幅で上げ下げしたか。④前提条件:境界が確定している前提か、建物を残したまま売る前提か、残置物の撤去を見込んでいるか。⑤売り出しの想定:その価格でどのくらいの期間の販売を想定しているか。

事例の傾向は、国土交通省の不動産情報ライブラリでも確かめられます。不動産価格の検索画面では、住所や駅を指定し、土地・土地と建物・中古マンションなどの種類と時期(最長で過去5年分)を選んで、取引価格情報と成約価格情報を表示できます。結果には取引の時期、価格、面積あたりの単価、前面道路の情報などが並ぶため、査定書の事例と同じ傾向かどうかを大づかみに見る材料になります。

ただし、同じ町内でも道路付けや形状で価格は大きく変わります。数字だけを並べて比べるのではなく、自分の物件との違いを担当者に説明してもらうことが大切です。

査定書で確かめたいことチェックリスト
  • 比較に使った取引事例の場所と時期
  • 事例と自分の物件の広さ・駅や学校までの距離の違い
  • 建物の築年数・修繕履歴・設備の評価
  • 前面道路の幅や接道の状況、土地の形の扱い
  • 有利・不利な点をどの程度補正したか
  • 境界・残置物・建物を残すかなどの前提条件
  • その価格で想定している販売期間

売出価格を決めるときに考える三つの軸

売出価格は、次の三つを重ねて考えると決めやすくなります。①市場の軸:査定の根拠となった事例や、不動産情報ライブラリで見られる近隣の取引の傾向。②物件の軸:前面道路や接道の状況、土地の形、建物の状態、修繕の履歴など、事例と比べて有利・不利になる点。③売主の事情の軸:いつまでに売りたいか、住み替え先の資金計画、住宅ローンの残高を売却代金で返せるか、といった点です。

不動産情報ライブラリの利用約款でも、実際の取引価格には売り急ぎ・買い急ぎなど当事者の事情が反映されると注意されています。公開されている事例の価格も、それぞれの事情を含んだ一つの結果にすぎないということです。

仮に、住み替え先の引渡しが半年後に決まっていて、それまでに売却代金を受け取る必要があるなら、時間をかけて様子を見る余裕は小さくなります。反対に、急ぐ理由がなく、空き家として管理も続けられるなら、少し上の価格から始めて反応を見る選択もあり得ます。どの軸を重く見るかは人によって違うため、迷ったときは「いつまでに」「いくら以上で」という条件のうち、どちらを優先するかを先に決めておくと、担当者との話し合いが具体的になります。

市内で自分で確かめられる公的な価格情報

売出価格を考える前に、公的に公開されている価格情報にも目を通しておくと、査定の説明を聞くときの土台になります。岡山市の公式サイトでは、固定資産税の路線価は、道路に接する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格で、宅地の評価額はこれをもとに奥行や形状、法的な制限などに応じて求めると説明しています。固定資産税路線価は各区の市税事務所で無料で公開されているほか、全国地価マップのウェブサイトでも見られるとされ、問い合わせ先は財政局税務部の課税管理課です。相続税の路線価は税務署の案内になります。

また、自分の土地・家屋の固定資産課税台帳は、閲覧制度により各区市税事務所や支所、地域センターの窓口で、通年(土日祝を除く)無料で確認できると案内されています。窓口ではマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要で、代理人なら委任状も求められます。

なお、路線価や固定資産税の評価額は課税のための価格で、売買の価格そのものではありません。あくまで、査定額の説明と照らし合わせるための参考として使いましょう。倉敷市や瀬戸内市の物件は、それぞれの市の公式サイトで閲覧の窓口を確認してください。地価公示・地価調査の価格は、不動産情報ライブラリの地図でも確認できます。

ローン残高と手取りから下限を逆算する

住宅ローンが残っている物件では、売却代金で残高を返済し、抵当権を抹消してから引き渡すのが一般的な流れです。売出価格を決める前に、借入先の金融機関で残高と一括返済の手続きを確認し、仲介手数料や登記費用、税金などを差し引いた手取りの見込みを出しておきましょう。

仲介手数料には国土交通省の告示で上限が決められています。消費税の課税事業者である不動産会社の場合、消費税等を含まない売買代金のうち200万円以下の部分は5.5%、200万円を超え400万円以下の部分は4.4%、400万円を超える部分は3.3%を掛けて合計した額が上限です(令和6年7月施行の改正後の告示。800万円以下の物件には別の特例があります)。仮に成約価格が2,000万円なら、200万円×5.5%=11万円、200万円×4.4%=8.8万円、1,600万円×3.3%=52.8万円で、上限は合計72.6万円です。実際の額はこの範囲で媒介契約のときに取り決めます。

この例でローン残高が1,700万円なら、2,000万円から手数料の上限72.6万円と残高を引いて227.4万円となり、ここから登記費用や印紙税、引っ越し費用などを差し引いたものが手元に残る見込みです。手取りが残高に届かない価格帯がある場合は、その下限を担当者に伝えておくと、交渉の場面で判断がぶれにくくなります。

ここで書いた内容は一般情報です。返済や抵当権抹消の手続きは金融機関や司法書士に、売却益にかかる税金は税理士や税務署に確認してください。

高めに出すか、査定額どおりにするか

売出価格を査定額より高く設定すること自体は珍しくありませんが、反応が少ないまま時間が過ぎると、価格を下げる判断をどこかで迫られます。逆に低めに設定すると問い合わせは集まりやすい一方、もっと高く売れた可能性を手放すことにもなります。どちらが正解という一般論はありません。

判断の手がかりになるのは、媒介契約で決まる報告の仕組みです。宅地建物取引業法では、専任媒介契約の有効期間は3か月を超えられず、不動産会社は業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任媒介契約では1週間に1回以上)報告しなければならないとされています。また、どの媒介契約でも、購入の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告することになっています。

この報告を、見直しの判断材料として使う前提で決めておくと現実的です。①何回分の報告(何週間)を見て判断するか、②問い合わせや内覧の数がどの程度なら据え置き、どの程度なら見直すか、③見直すならどのくらいの幅を想定するか、を売り出す前に担当者と取り決めておきましょう。根拠を伴った見直しの目安があれば、値下げのたびに迷うことが減ります。価格だけでなく、写真や紹介文、内覧時の見せ方を改善する余地がないかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。

売出価格を決めて見直すまでの流れ
  1. 01
    査定の根拠を確認

    事例・評価・補正の説明を受けて記録する

  2. 02
    手取りを試算

    ローン残高、仲介手数料、諸費用を差し引いて下限を出す

  3. 03
    優先順位を決める

    期限と金額のどちらを重く見るかを決める

  4. 04
    売出価格と見直し基準を決める

    何週間で、どの数字なら、どの幅で見直すか

  5. 05
    報告を受けて判断

    定期報告と申込みの報告をもとに据え置きか見直しかを決める

  6. 06
    交渉に対応

    価格・手取り・条件を下限と照らして判断する

専任媒介契約の報告は2週間に1回以上、専属専任媒介契約は1週間に1回以上と定められています(宅地建物取引業法第34条の2第9項)。

売り出す前に価格の根拠を補強する準備

売出価格に説得力を持たせるには、買主が気にする点を先回りして示せる材料をそろえておくことも役に立ちます。同じ価格でも、物件の状態や権利関係がはっきりしているほど、買主は判断しやすくなるからです。

手元で確認しておきたいのは、①購入時の売買契約書や重要事項説明書、②建築時の確認済証や検査済証、図面、③屋根や外壁、水回りなどの修繕・リフォームの記録、④境界標の位置や測量図の有無、⑤固定資産税の納税通知書、などです。どれがどこにあるかを売り出す前に把握しておくと、査定の段階で担当者が評価に反映しやすくなります。

中古の建物の場合は、建物状況調査(インスペクション)も検討材料になります。宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号では、既存の建物の媒介契約書に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載することになっています。調査をするかどうかは売主の判断ですが、建物の状態を説明する材料が増えれば、売出価格の根拠を買主に伝えやすくなります。

一方で、準備に時間をかけすぎて売り出しの時期を逃すのは本末転倒です。期限が決まっている場合は、そろえられるものから担当者に渡し、残りは並行して探す進め方で構いません。

価格交渉を受けたときの考え方

売り出した後、売出価格より低い金額で購入の申込みが入ることがあります。そのときは、価格の差だけでなく、手取りの差と条件の違いをあわせて見ると判断しやすくなります。

仮に2,480万円で売り出したところ、2,300万円で購入したいという申込みが入ったとします。満額で成約した場合の仲介手数料の上限は、11万円+8.8万円+2,080万円×3.3%(68.64万円)で88.44万円、2,300万円なら11万円+8.8万円+1,900万円×3.3%(62.7万円)で82.5万円です。売買代金の差は180万円ですが、手数料の上限も約6万円変わるため、手取りの差はおよそ174万円になります。税金の扱いは個別の事情で変わるため、この計算には含めていません。

そのうえで、条件面も比べます。①引渡しの時期が自分の予定と合うか、②住宅ローンを利用する買主か、③残置物の撤去や境界の確認をどちらが負担するか、④契約不適合責任の範囲をどうするか、などです。価格を少し譲っても、引渡し時期や負担の条件が合うなら受ける価値があることもあれば、逆の場合もあります。

先に決めておいた下限と照らし合わせ、すぐに答えを出せないときは、担当者を通じて回答の期限を確認したうえで検討しましょう。

トリプルギブへのご相談

株式会社トリプルギブは、岡山市南区福吉町を拠点に、岡山市・倉敷市・瀬戸内市を中心として売買・仲介や分譲地の開発を行っています。ご相談の後は物件の調査をもとに根拠のある査定をご提出し、売却の方針を明確にしたうえで仲介か買取かを確定します。

売出価格についても、査定の根拠、近隣の取引の傾向、ローン残高や住み替えの予定といったご事情を照らし合わせながら一緒に考えます。見直しの目安や、交渉が入ったときの判断の基準も、売り出す前に整理しておくことをおすすめしています。公式サイトのCASEでは、これまでに掲載している取引実績をご覧いただけます。

対応できるかは物件ごとに判断しますので、他社の査定額の受け止め方に迷っている段階でもご相談ください。

よくある質問

Q. 査定額より高い売出価格にしたいと伝えたら、不動産会社に断られることはありますか。

売出価格は売主が決めるもので、査定額と同じにする決まりはありません。ただし、根拠から大きく離れた価格だと反応が得られにくいと考え、担当者が意見を述べることはあります。その場合は、どの点が根拠と合わないのかを具体的に聞き、見直しの時期と幅を決めたうえで始めるかどうかを話し合うと、双方が納得しやすくなります。

Q. 一度値下げした価格を、後で元に戻すことはできますか。

売出価格の変更は売主の判断でできますが、値下げ後に問い合わせが増えた段階で上げると、検討中の人に不信感を持たれることもあります。媒介契約書には売買すべき価額が記載されているため、変更するときは担当者と書面で確認しておくと行き違いを防げます。上げ下げを繰り返さないよう、見直しの幅は最初に話し合っておくのが無難です。

Q. 固定資産税の評価額を見れば、売れる価格の見当はつきますか。

固定資産税の評価額や路線価は課税のための価格で、売買の価格とは目的も決め方も違います。同じ地域の物件どうしを比べる目安にはなりますが、評価額に一定の倍率を掛ければ売れる価格になる、といった決まった関係はありません。売出価格の検討では、取引事例をもとにした査定の根拠と、不動産情報ライブラリの取引価格・成約価格の情報を中心に見るほうが実際に近くなります。

Q. 複数社の査定額に大きな差があるときは、どう考えればよいですか。

差が出る原因は、比較した事例の違い、建物の評価の仕方、販売期間の想定などにあることが多いです。高い査定額をそのまま採るのではなく、各社に根拠を説明してもらい、事例の時期や場所、補正の内容を並べて比べてみてください。どの説明が自分の物件の実情に合っているかで判断すると、売出価格を決めた後の見直しにも根拠を持てます。

この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。

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編集方針:確認できる事実と一般的な判断のポイントを区別し、価格・期間・検索順位を保証する表現は用いません。

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