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SELLING JOURNAL / 状況別

岡山で借地の家を売る前に地主と確認すること|譲渡承諾と承諾料・代諾許可

この記事の確認者

代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

岡山市南区新保の建売住宅
写真:岡山市南区新保 建売住宅(公式サイト掲載の取引実績)
まず、ここから

借地の建物を売ると借地権(土地の賃借権)も買主に移るため、民法上、原則として地主の承諾が必要です。承諾料の額は法律で一律に決まっていないため、契約内容を確認したうえで地主と話し合います。地主に不利となるおそれがないのに承諾が得られない場合は、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる制度があります。

なぜ地主の承諾が必要になるのか

借地の上の建物を売ると、建物と一緒に土地を借りる権利も買主に移るのが通常です。民法第612条は、賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡すことができず、これに違反して第三者に使用させたときは賃貸人は契約を解除できると定めています。地主の承諾がないまま売却を進めると、借地契約そのものが解除されるおそれがあるということです。

買主の立場から見ても、承諾の見通しが立っていない物件は判断が難しくなります。借地借家法第10条は、借地権の登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有していれば第三者に対抗できると定めています。建物の登記名義が誰になっているかは、買主に権利をきちんと引き継ぐための土台になるため、地主との話と並行して確かめておきたい点です。

なお、この記事では土地の賃借権としての借地権を前提にしています。地上権の場合など契約の形によって扱いが異なることがあるため、まず手元の契約書で確認しましょう。本記事は一般情報であり、個別の判断は弁護士や司法書士に相談してください。

まず借地契約の中身と種類を確かめる

同じ「借地」でも、契約の時期や種類によって前提が変わります。借地借家法では、借地権の存続期間は30年(契約でそれより長い期間を定めたときはその期間)、更新後の期間は最初の更新が20年、その後は10年が原則とされています。一方、この法律の施行前に設定された借地権については、附則で契約の更新に関しては従前の例によるとされており、いわゆる旧借地法の時代からの契約では、更新のルールが今の条文と同じとは限りません。

さらに、更新のない「定期借地権」(存続期間50年以上)、事業用の建物に限る「事業用定期借地権等」、30年以上たった時点で建物を地主に譲る特約を付ける「建物譲渡特約付借地権」という類型もあります。事業用定期借地権等の設定は公正証書でしなければならないとされています。

売る側にとって大切なのは、残りの期間がどれくらいあるか、更新があるかどうかで、買主がその家にどれだけ住めるかの見通しが変わることです。契約書が見つからない場合でも、地代の領収書や過去の更新時の書類から手がかりが得られることがあります。種類の判断に迷うときは、契約書の写しを持って専門家に確認してもらうのが確実です。

仮に、親が数十年前に結んだ契約を引き継いでいて、契約書には当初の期間しか書かれていない、という場面を考えます。この場合、これまでに更新があったのか、更新後の期間がいつまでなのかが書類から読み取れないことがあります。地主に確認する前に、地代の領収書の宛名や日付、過去に更新料などを払った記録が残っていないかを家の中で探しておくと、話し合いの出発点をそろえやすくなります。

地主に相談する前の準備と手順

地主と話す前に、次の点を手元で整理しておくと話し合いが進めやすくなります。①借地契約書の有無と内容(期間、更新の時期、地代、譲渡や建替えに関する定め)。②借地権の種類(普通の借地権か、定期借地権などか)。③建物の登記。自分の名義になっているか、相続後の名義変更が済んでいるか。④地代の支払い状況と、これまでの更新や建替えの経緯。⑤地主の連絡先と、地主側の相続などで相手が変わっていないか。

建物の登記は、法務局で登記事項証明書を取って確かめられます。地代を誰の名義で払っているかと、建物の登記名義が食い違っている場合は、先にその整理が必要になることもあります。

準備ができたら、売却したい理由と時期、どのような買主を想定しているかを地主に伝え、承諾してもらえるか、条件があるかを聞きます。地主が自ら建物を買い取ることを希望する場合もあるため、選択肢の一つとして意向を聞いておくとよいでしょう。話し合いの経過や合意した条件は、口頭だけで済ませず書面に残しておくと、買主への説明や後の行き違い防止に役立ちます。

書面には、承諾する相手(買主の名前が決まっていれば記載)、承諾料の額と支払いの時期、承諾後の地代や契約期間をどう引き継ぐかを入れておくと、後から確認しやすくなります。買主が決まる前に大筋の承諾をもらい、買主が決まった段階で改めて正式な承諾書を交わすという段取りもあるため、どの時点で何を書面にするかを地主と相談しておきましょう。

借地の家を売るまでの流れ
  1. 01
    契約の確認

    借地契約書で期間・更新・地代・譲渡の定めを確かめる

  2. 02
    登記の確認

    法務局で建物の登記名義を確かめ、必要なら相続登記を進める

  3. 03
    資金の試算

    承諾料や仲介手数料を含めて手元に残る金額を見積もる

  4. 04
    地主へ相談

    売却の理由と時期を伝え、承諾の可否と条件を聞く

  5. 05
    合意の書面化

    承諾と条件を書面に残す(地主への売却も比較する)

  6. 06
    買主との契約

    承諾を前提とした条件で売買契約を結ぶ

地主が承諾しない場合は、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる制度があります(借地借家法第19条)。進め方は弁護士に相談してください。

承諾料の考え方と税金での扱い

地主が譲渡を承諾する際に、借地人から地主へ承諾料(名義書換料と呼ばれることもあります)を支払う例があります。ただし、民法や借地借家法に承諾料の額を一律に定めた規定はありません。金額は当事者の話し合いで決めるのが基本で、契約書にあらかじめ定めがあればそれに従います。

参考になるのが、裁判所が承諾に代わる許可を出すときの考え方です。借地借家法第19条では、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件の変更を命じたり、許可を財産上の給付にかからしめたりできるとされ、判断にあたっては賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、譲渡を必要とする事情その他一切の事情を考慮するとされています。話し合いでも、こうした事情を踏まえて双方が納得できる条件を探ることになります。

税金の面では、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)で、借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料などは、譲渡所得の計算上「譲渡費用」になるとされています。ここでの説明は一般情報です。実際の申告や特例の適用は、税理士や税務署に確認してください。

仮の場面で考える:承諾料と手元に残るお金

仮に、親から相続した借地上の家を、建物と借地権あわせて1,200万円で売ることになり、地主との話し合いで承諾料を100万円支払うと合意した場合を考えます(金額はいずれも説明のための仮定で、相場を示すものではありません)。

国税庁の説明では、土地や建物の譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算し、実際の取得費が譲渡価額の5%より少ないときは5%を取得費(概算取得費)とすることができるとされています。この例で取得費が分からず概算取得費を使うなら60万円です。承諾料100万円は譲渡費用に入るため、仲介手数料などほかの譲渡費用をXとすると、譲渡所得は1,200万円-(60万円+100万円+X)という形になります。

注意したいのは、承諾料は課税の計算では差し引かれても、実際に出ていくお金であることです。売り出し価格を決める前に、承諾料、建物の登記の整理にかかる費用、仲介手数料などを並べ、手元にいくら残るかを試算しておきましょう。相続で取得した場合の取得費の考え方や、使える特別控除があるかどうかは個別に異なるため、この計算はあくまで一般情報として、最終的には税理士に確認してください。

地主が承諾しないとき:裁判所の譲渡許可と地主の介入権

借地借家法第19条は、借地人が借地上の建物を第三者に譲渡しようとする場合に、その第三者が賃借権を取得しても地主に不利となるおそれがないにもかかわらず地主が承諾しないときは、借地人の申立てにより、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与えることができると定めています。裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、鑑定委員会の意見を聴くとされています。東京地方裁判所の案内では、鑑定委員会に許可の可否、承諾料額、賃料額、建物及び借地権価格等について意見を求めると説明され、多くの事件は特段の事情がなければ概ね1年以内に終わっているとされています。

同じ条文には、申立てがあった場合に、裁判所が定める期間内に地主が自ら建物と賃借権の譲渡を受ける旨を申し立てたときは、裁判所が相当の対価などを定めてこれを命じることができるという定めもあります(介入権と呼ばれます)。つまり、許可を求めた結果、第三者ではなく地主に売ることになる可能性もあるということです。

この手続きは、借地の所在地を管轄する地方裁判所が扱い(当事者の合意があれば簡易裁判所も可)、手続代理人は原則として弁護士とされています。第19条に反する特約で借地人に不利なものは無効です(第21条)。条文は2026年10月4日にe-Gov法令検索で確認しました。申立てをするかどうか、時期や見通しは弁護士に相談してください。

地主に買ってもらう選択肢と、承諾なしで売った場合の問題

借地の家の売り先は、第三者だけではありません。地主にとっては、建物と借地権を買い取れば土地を自由に使えるようになるため、話し合いの中で地主への売却がまとまることもあります。第三者への売却で承諾料を払う場合と、地主に売る場合とでは、手元に残る金額や手続きの手間が変わるため、両方を並べて比べてみる価値があります。

反対に避けたいのが、地主の承諾を得ないまま第三者と売買契約を結んでしまうことです。借地借家法第14条は、第三者が借地上の建物を取得した場合に地主が賃借権の譲渡を承諾しないときは、その第三者は地主に建物を時価で買い取るよう請求できると定めています。買主は住むつもりで買ったのに、地主との間で建物の買取りをめぐる話になりかねず、売主と買主の間でも争いの種になります。

売買契約を結ぶ場合は、地主の承諾を得られることを条件にする、承諾が得られなかったときは契約を白紙に戻せるようにしておくなど、段取りを不動産会社と相談して決めておきましょう。買主が住宅ローンを使う場合、借地の物件を融資の対象とするかどうかは金融機関によって判断が異なるため、買主側にも早めに金融機関へ相談してもらう時間を確保しておくと安心です。

売り先と承諾の得方の比較
項目地主の承諾を得て第三者に売る裁判所の許可を得て第三者に売る地主に売る
地主の承諾話し合いで得る承諾に代わる許可を申し立てる地主自身が買主になる
承諾料など話し合いで決める(契約書に定めがあれば従う)許可が財産上の給付に係らしめられることがある売買価格の中で話し合う
時間の目安話し合いの進み方による東京地裁の案内では多くは概ね1年以内話し合いの進み方による
注意点合意内容を書面に残す地主が介入権を使うと地主への売却になることがある第三者に売る場合の手取りとも比べる
条文は2026年10月4日にe-Gov法令検索で確認。個別の見通しは弁護士に相談してください。

岡山市内で確認・相談できる窓口

まず建物の登記を確かめるには、法務局で登記事項証明書を取得します。岡山地方法務局の本局は岡山市北区南方にあります。相続で建物の名義変更が済んでいない場合は、売却の前に相続登記が必要になることが多く、手続きは司法書士に相談するのが一般的です。岡山市のよくある質問では、土地・建物の相続登記手続きについて司法書士による無料相談も実施されていると案内されています。

地主との交渉や裁判所への申立てを考える段階では、弁護士への相談が中心になります。岡山市の「無料法律相談(弁護士)」は、市内在住で1年以内にこの相談を利用していない方が対象で、場所はさんかく岡山(北区表町)、一人25分の予約制(先着順)です。令和8年度は7月から翌年3月にかけて主に水曜日と木曜日に隔週で行う予定とされ、各相談日の当日午前9時から受け付けが始まります。日程は変わることがあるため、市の公式ページで最新の情報を確認してください。

借地非訟の申立先となる岡山地方裁判所は、本庁が北区南方にあり、倉敷市には倉敷支部があります。どの裁判所に申し立てるかは土地の所在地によるため、弁護士に確認しましょう。倉敷市や瀬戸内市にお住まいの方の法律相談の窓口は、それぞれの市の公式サイトで確認してください。

買主と不動産会社に伝えておきたいこと

借地の家を買う人は、土地を買う場合と違って、毎月の地代や契約の残り期間、地主との関係まで含めて判断します。売主が知っていることを早い段階で不動産会社に伝えておくと、買主への説明が正確になり、契約後の行き違いを防げます。

伝えておきたい項目は、①借地権の種類(普通の借地権か定期借地権などか)と、契約の残りの期間・更新の時期、②現在の地代の額と支払い方法、③地主の承諾の有無と、承諾に付いた条件(書面の写し)、④承諾料を誰がどう負担するか、⑤建物の登記名義と、相続登記などの手続きが済んでいるか、⑥契約書にあるほかの定め(建替えや増改築に地主の承諾が必要か、など)です。

分からない点がある場合は、推測で埋めずに「確認中」「書類が見当たらない」と正直に伝えるのが基本です。たとえば、更新の扱いが旧借地法の時代の契約かどうかで変わる可能性があるなら、その点も含めて説明しておきます。借地借家法第17条では、増改築を制限する借地条件がある場合に、協議が調わなければ裁判所が地主の承諾に代わる許可を与えられるとされていますが、買主にとっては、将来の建替えに地主の承諾が要るかどうか自体が大きな判断材料です。建替えに関する定めは、契約書の該当箇所を示して説明できるようにしておきましょう。

トリプルギブへのご相談

株式会社トリプルギブは岡山市南区を拠点に、戸建てや土地の売買・仲介、分譲開発を行っています。借地の家の売却は、地主との調整、建物の登記、買主の資金計画が絡み合うため、一つずつ順番を整理しながら進めることが大切です。

ご相談をいただいたら、借地契約の内容や建物の状況を調査し、根拠のある査定をご提出します。そのうえで、第三者への売却、地主への売却などの選択肢を比べながら売却方針を明確にし、仲介か買取かを確定します。対応できるかどうかは物件ごとに判断します。

借地権付きの家の売却全体の流れは公式ブログでも紹介しています。地主にどう話を切り出せばよいか迷っている段階や、契約書が見当たらない段階でも、まずは手元の資料を持ってご相談ください。

よくある質問

Q. 借地契約書が見つかりません。それでも売却の相談はできますか?

契約書がなくても借地関係がなくなるわけではありませんが、期間や更新、譲渡に関する定めが分からないまま地主と話すと、条件の確認に時間がかかります。まず地代の領収書や振込記録、過去の更新時の書類、建物の登記事項証明書を集め、地主側に契約書の控えがないか尋ねてみましょう。内容を確認し直したうえで、合意事項を書面にしておくと、買主への説明にも使えます。

Q. 地主が亡くなり、相続人の誰に話せばよいか分かりません。

地主側で相続が起きると、土地の所有者が誰になったかを確かめる必要があります。土地の登記事項証明書で所有者の名義を確認し、名義が変わっていなければ、地代の受取先や管理を任されている方を手がかりに連絡先を探します。相続人が複数いて話がまとまっていない場合は、承諾を誰から得ればよいかの判断が難しくなるため、早めに弁護士や司法書士へ相談してください。

Q. 地代を滞納していた期間があります。売却に影響しますか?

地代の滞納は、地主との信頼関係に関わるため、承諾の話し合いに影響しやすい事情です。裁判所が承諾に代わる許可を判断する際も、借地に関する従前の経過を考慮するとされています。滞納がある場合は、売却の相談を始める前に精算の方法を地主と話し合い、支払った記録を残しておきましょう。契約解除のおそれがあるかどうかは個別の事情によるため、弁護士に確認してください。

Q. 建物が古いので、解体して借地を地主に返したほうがよいですか?

建物を取り壊すと、建物があることを前提にした借地権の対抗力や、地主への売却・第三者への売却の選択肢に影響が出ることがあります。解体費用もかかるうえ、借地の返還条件は契約によって異なります。古い建物でも、建物と借地権をあわせて地主や第三者が買い取る場合があるため、解体する前に契約内容を確認し、売却した場合と返還した場合の手元に残る金額を比べてから判断しましょう。

この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。

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編集方針:確認できる事実と一般的な判断のポイントを区別し、価格・期間・検索順位を保証する表現は用いません。

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