SELLING JOURNAL / 状況別
岡山で住み替えるとき今の家は売り先行か買い先行か|売る側の判断ポイント
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

今の家の売却代金を次の住まいの資金に充てる必要があるなら、売却額と引渡し日が先に確定する売り先行が基本です。資金に余裕があり新居の条件を優先したい場合は買い先行も選べますが、売る期限と最低価格を先に決めておくことが欠かせません。
売り先行と買い先行の違いを「今の家」から見る
住み替えの順番には、今の家の売却を先に決める「売り先行」と、新しい住まいを先に決める「買い先行」があります。新居探しの情報は多くありますが、この記事では今の家をどう売るかという側に絞って考えます。
売り先行は、売却価格と引渡し日が先に確定するため、次の住まいに使える資金がはっきりします。一方で、新居が決まる前に引渡し日が来ると、仮住まいが必要になることがあります。買い先行は、新居を納得して選べる反面、今の家が売れるまでの間の資金の手当てが必要になり、売却に期限が生まれます。
どちらが良いかは一概には言えず、①売却代金を次の購入資金に使うか、②今の家の住宅ローンが残っているか、③引越しの時期に制約があるか(子どもの進学、転勤、新居の完成時期など)、の三点でおおむね方向が決まります。岡山市内での住み替えか、倉敷市や県外への転居かによっても、新居探しと売却を並行できる範囲が変わります。市内の近い場所への住み替えなら、売却の内覧対応と新居の見学を同じ週に組みやすい一方、遠方への転居では、引越し後に今の家を空き家の状態で売ることを前提にした計画が必要になります。
| 項目 | 売り先行 | 買い先行 |
|---|---|---|
| 資金計画 | 売却額が先に確定し、新居の予算を決めやすい | 売却額が未定のまま新居を契約する |
| 住まい | 引渡し日によっては仮住まいが必要 | 仮住まいは不要なことが多い |
| 今の家の価格 | 期限がないため見直しを落ち着いて判断できる | 期限が近づくと価格を譲りやすい |
| ローン | 完済後に新居のローンを組む流れになりやすい | 返済が重なる期間が生じることがある |
| 向いている人 | 売却代金を新居の購入資金に充てたい人 | 資金に余裕があり新居の条件を優先したい人 |
まず「売ったら手元にいくら残るか」を試算する
順番を決める前に、今の家を売った場合の手取りを大まかに試算しておくと、判断の土台ができます。手取りは、売却価格から、住宅ローンの一括返済額と、売却にかかる諸費用(仲介手数料、抵当権を消す登記の費用、売買契約書の印紙代、引越し費用など)を差し引いた金額です。
仮に、売却価格を2,800万円、住宅ローンの残高を1,900万円、諸費用の合計を110万円と置くと、手取りは2,800万円-1,900万円-110万円=790万円です。この790万円を新居の頭金に充てる予定なら、売却価格が想定より200万円下がるだけで頭金も200万円減ります。ここでの数字は説明用の仮定で、実際の売却価格や費用は物件や契約内容によって変わります。譲渡所得の税金がかかる場合は、さらに差し引きが必要です(後の章で触れます)。
反対に、仮にローン残高が売却見込み額を上回る場合は、差額を手持ち資金で補えるかどうかで選べる順番が変わります。残高や一括返済の手続き、返済に必要な日数は、借入先の金融機関で確認できます。ローンに関するここでの説明は一般情報であり、具体的な条件は金融機関に確認してください。
試算のために手元に用意しておきたいのは、①住宅ローンの返済予定表または残高がわかる書類、②購入時の売買契約書と諸費用の領収書、③固定資産税の納税通知書、④リフォームや増改築の記録です。①は手取りの計算に、②と④は後で触れる税金の計算に、③は物件の概要や年間の負担を確認するのに使います。査定の前にこれらを揃えておくと、不動産会社との相談も具体的に進められます。
売り先行が向いている状況と、仮住まいを減らす工夫
売り先行が向いているのは、①今の家の売却代金を次の住まいの頭金や購入代金に充てる予定がある、②住宅ローンが残っていて売却代金で完済したい、③売却価格を急いで下げたくない、という場合です。売れる時期が決まっていないので、反響を見ながら価格を見直すかどうかを落ち着いて判断できます。反対に、売る期限が決まっている買い先行では、期限が近づくほど価格面で譲らざるを得ない場面が出やすくなります。
売り先行の課題は住まいの空白です。売買契約の段階で、①引渡し日を少し先に設定する、②引渡し後しばらく住み続ける条件を買主と相談する、③新居の候補を売り出しと同時に探し始め、契約から引渡しまでの間に決める、といった日程の組み方で、仮住まいの期間や費用を減らせることがあります。
仮に、契約から引渡しまで2か月の猶予を取れれば、その間に新居の契約まで進められるかもしれません。ただし、引渡しを先に延ばす条件は、買主の資金計画や引越し時期とも関わるため、どの買主にも受け入れてもらえるわけではありません。売り出しの前に不動産会社と「どこまで融通をきかせられるか」を確認し、広告や商談の段階で条件として伝えておくことが大切です。
買い先行を選ぶなら、期限と最低価格を先に決める
買い先行は、新居を先に決めたい事情がある場合や、今の家の売却代金に頼らずに購入できる資金がある場合に検討しやすい方法です。ただし今の家を売る側から見ると、注意点があります。
①今の家のローンと新居のローンの返済が重なる期間が生じることがあり、新しい借入れが可能かどうかは金融機関の審査によります。②新居の購入に売却代金を使う前提なら、今の家を「いつまでに」「いくら以上で」売ればよいかという期限と下限を決めておく必要があります。③期限までに売れなかった場合に、価格を見直すのか、仲介ではなく買取で売るのかといった次の手も、事前に考えておくと慌てずに済みます。
場面で考えると、仮に新居の残金の支払いが半年後で、そのときまでに今の家の売却代金が必要だとします。その場合、売り出しから3か月を目安に反響を確認し、内覧が少なければ価格を見直す、5か月目に入っても契約に至らなければ買取の査定と比べる、といった区切りを最初に決めておくと、判断を先送りせずに済みます。期間の区切り方は物件や市場の状況で変わるため、ここでの月数は考え方の例です。
買い先行は判断の自由度が高い反面、今の家の売却が後回しになりやすい方法です。新居探しと同じくらいの熱量で、今の家の査定と販売計画を早めに始めることをおすすめします。
住みながら売るか、空けてから売るか
順番とは別に、今の家に住んだまま売るか、引越して空き家にしてから売るかも決めておきたい点です。
住みながら売る場合は、仮住まいが不要で家賃の二重払いが生じにくい一方、内覧の日程を買い手に合わせる必要があり、生活感のある室内をどこまで片付けるかが課題になります。空けてから売る場合は、内覧の日時を合わせやすく室内も見せやすくなりますが、ローンや固定資産税と新居の費用が重なる期間が生まれ、空き家の換気・通水・庭の手入れといった管理の手間もかかります。
判断の目安として、次の点を書き出してみてください。①新居の費用と今の家の費用を何か月まで同時に払えるか、②平日や週末に内覧へ対応できるか、③家具や荷物を先に減らせるか、④空き家になった後に誰が見回りをするか、⑤売却までの間に火災保険の内容を見直す必要があるか、です。
これらは売主の生活と直結する条件なので、査定の段階で不動産会社に伝えておくと、販売の進め方や価格設定に反映しやすくなります。遠方へ転居する場合は、鍵の預け方や内覧の立会いの方法も早めに相談しておくと安心です。なお、空けてから売る場合でも、税の特例には住まなくなってからの期限がある点に注意が必要です(後の章で整理します)。空き家の期間が長引きそうなときは、期限から逆算して売り出しの時期を決めておきましょう。
マイホームを売るときの3,000万円控除と「時期」の要件
住み替えで今の家を売って利益が出た場合、譲渡所得に税金がかかることがあります。国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)では、譲渡所得は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」で計算し、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える土地・建物は長期譲渡所得として、所得税15%、住民税5%、さらに所得税額に2.1%を掛けた復興特別所得税がかかると案内されています。
仮に、10年以上前に買った家を3,200万円で売り、取得費(建物は減価償却後の額)が2,000万円、譲渡費用が120万円だったとします。譲渡所得は1,080万円で、特例を使わなければ所得税162万円、復興特別所得税約3万4千円、住民税54万円が目安になります。一方、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除が使えれば、譲渡所得は0円になります。実際の計算では取得費の求め方や端数処理、他の特例との関係で結果が変わります。
買い先行で先に新居へ移る場合は、時期の要件に注意が必要です。以前住んでいた家は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです。家を取り壊して土地で売る場合は、取り壊しから1年以内に契約し、その間に駐車場などに使っていないことなども求められます。親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外で、適用には確定申告が必要とされています。ここでの説明は制度の一般情報です。
住宅ローン控除や買換えの特例との関係も確認する
住み替えでは、新居の住宅ローン控除と、今の家の売却の特例の関係にも注意が必要です。国税庁の案内では、新居に入居した年とその前後2年の計3年間に、今の家の売却で3,000万円特別控除を受けると、新居について住宅ローン控除を受けられないとされています。どちらを使うほうが有利かは、売却益の大きさや借入額によって変わります。
ほかにも、住み替えで使える可能性がある特例があります。①特定のマイホームを買い換えたときの特例は、売却代金が1億円以下、居住期間10年以上、売った年の1月1日時点で所有期間10年超などの要件があり、令和9年12月31日までの譲渡が対象です。3,000万円特別控除などとは選択の関係になります。②マイホームを買い換えて譲渡損失が出た場合の損益通算・繰越控除の特例は、売った年の1月1日時点で所有期間5年超、新居の床面積50平方メートル以上、償還期間10年以上の住宅ローンがあることなどが要件で、こちらも令和9年12月31日までの譲渡が対象です。
どの特例を選ぶかで、売却後の手取りだけでなく新居の税負担も変わります。売り出しの前に、購入時の契約書や領収書、リフォームの記録など取得費を示す書類を探しておき、具体的な判断は税理士や税務署に相談してください。この章の内容も一般情報です。
反対に、仮に今の家を買ったときより安くしか売れない場合でも、損失の特例が使えるかどうかで新居の年の税負担が変わることがあります。損が出るから申告は関係ない、と決めつけずに確認しておくことをおすすめします。
市内での確認先と、売却から引渡しまでの手続き
住み替えの売却では、税・固定資産税・登記の三つの窓口が関係します。
①税の相談:譲渡所得の申告は住所地の税務署が窓口です。岡山市内には岡山東税務署と岡山西税務署があり、区によって管轄が分かれています。倉敷市や瀬戸内市にお住まいの場合も含め、国税庁(広島国税局)の「税務署所在地・案内(岡山県)」で管轄を確認できます。
②固定資産税:岡山市の案内では、固定資産税は毎年1月1日時点で登記簿に所有者として記録されている人に課税され、年の途中で売っても月割の課税はないとされています。納期は4月・7月・9月・12月の4期で、土地・家屋の窓口は各区の市税事務所です。売買では、その年の負担を売主と買主でどう分けるかを契約で取り決めることがあるため、契約前に確認しておきましょう。倉敷市・瀬戸内市の扱いは各市の公式サイトで確認してください。
③登記:住宅ローンを売却代金で完済する場合、金融機関から抵当権を消すための書類(解除証書などの登記原因証明情報、委任状、登記識別情報など)が渡され、法務局で抵当権抹消の登記をします。岡山地方法務局の本局は北区南方にあり、管轄は同局のサイトで確認できます。実務では、引渡し当日に完済と抹消・所有権移転の登記をまとめて司法書士に依頼するのが一般的です。登記の具体的な手続きは司法書士に相談してください。
- 01手取りの試算
ローン残高と諸費用を確認し、売却後に残る金額を把握する
- 02査定と方針決め
根拠のある査定を受け、仲介か買取か、引渡し時期の希望を決める
- 03売り出しと新居探し
内覧に対応しながら、新居の候補を並行して探す
- 04売買契約
引渡し日や引渡し後の居住条件、固定資産税の負担の分け方を取り決める
- 05新居の契約と引越し準備
手取りの見込みに合わせて新居を決める
- 06決済・引渡し
ローン完済と抵当権抹消、所有権移転の登記を行う
- 07確定申告
売却の翌年に、特例の適用を含めて税務署へ申告する
トリプルギブへのご相談
株式会社トリプルギブは岡山市南区福吉町を拠点に、岡山市・倉敷市・瀬戸内市を中心とした不動産の売買・仲介を行っています。住み替えのご相談では、今の家について物件の調査をもとに根拠のある査定をお出しし、手取りの見込みを確認しながら、売り先行と買い先行のどちらが合うか、期限を区切る場合はどのような販売計画にするかを一緒に整理します。
売却方針を明確にしたうえで、仲介で売るか買取にするかも確定させていきます。公式サイトの取引実績(CASE)には、市内の中古住宅や建売住宅の掲載もあります。住み替えの順番で迷っている段階からご相談いただけます。対応できるかどうかは物件ごとに確認させていただきます。税金や登記の個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と連携してご案内します。
よくある質問
Q. 売り先行で契約したあと、新居がなかなか見つからない場合はどうなりますか?
売買契約で決めた引渡し日は、買主の引越しやローンの実行日とも結びついているため、売主の都合だけで延ばすことは難しいのが通常です。そのため、新居が決まらない可能性があるなら、契約前に引渡し日を長めに設定する、短期の賃貸を仮住まいの候補として調べておく、といった備えが必要です。どの程度の猶予を買主に相談できるかは、不動産会社と売り出し前に話し合っておきましょう。
Q. 今の家のローン残高が売却見込み額より多い場合でも住み替えはできますか?
売却代金だけでローンを完済できない場合は、差額を手持ち資金で補えるかどうかが出発点になります。抵当権を消すには原則として完済が必要なため、補う資金の準備ができない場合は、売却の時期を見直すか、借入先の金融機関に相談することになります。金融機関によって取り扱いは異なるため、ここでの説明は一般情報として、早めに残高証明と返済方法を確認してください。
Q. 住み替えの売却で確定申告が必要になるのはどんなときですか?
売却で利益が出て税金がかかる場合のほか、3,000万円特別控除のように利益があっても税額が0円になる特例を使う場合も、特例の適用を受けるために確定申告が必要です。損失が出て損益通算・繰越控除の特例を使う場合も同様です。売った年の翌年の申告期間に、住所地の税務署へ申告します。必要書類や特例の選び方は、税理士や税務署で確認してください。
Q. 買い先行で新居に移ったあと、今の家を賃貸に出してから売ることはできますか?
可能ですが、売る側から見ると注意点があります。賃貸中の家は住宅として住みたい人には売りにくく、投資用として売ることになる場合があります。また、3,000万円特別控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つで、貸している期間もこの期限は進みます。賃貸に出す前に、売却の時期と税の要件を税理士に確認しておくと安心です。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
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