SELLING JOURNAL / 査定・価格
用途地域で土地の売りやすさはどう変わる?岡山市で売る前に都市計画を調べる方法
代表取締役 土井 未来宅地建物取引士・2級FP・投資不動産取引士

土地の買い手は「何がどれだけ建てられるか」で価値を判断するため、用途地域や建ぺい率・容積率、市街化区域か市街化調整区域かといった都市計画の条件は、買い手の層と価格の付き方に直結します。岡山市の土地なら、市のWeb都市計画情報システムや不動産情報ライブラリで条件を確かめ、詳しい内容は市の担当課で確認してから査定の話を進めると、売り方の見通しが立てやすくなります。
買い手は「何がどれだけ建てられるか」を見て土地を選ぶ
土地を買う人は、その土地に建てたいものが建てられるかを最初に確かめます。住宅を建てたい個人、アパートを建てたい投資家、店舗や倉庫を考える事業者では、求める条件がまったく違います。都市計画で決められた用途地域は、建てられる建物の種類を左右し、建ぺい率・容積率は建物の大きさを左右します。同じ広さの土地でも、どんな買い手が関心を持つか、どんな使い道を前提に価格を考えるかが変わるのはこのためです。
売主にとっては、査定を受ける前に自分の土地の条件を知っておくと、不動産会社が想定した買い手像や、比較に使う取引事例の選び方が妥当かを判断しやすくなります。長く使っていない土地や、親から引き継いだ土地では、所有者自身が条件を把握していないことも多く、早めの確認が役立ちます。場面で考えると、仮に低層住宅向けの地域にある広めの土地なら、戸建てを建てたい個人か、区画を分けて販売する事業者が主な買い手として想定されます。仮に準工業地域の土地なら、住宅向けの買い手に加えて、作業所や倉庫を考える事業者も候補に入ります。どちらを想定するかで、広告の出し方や売り出しの時期の考え方も変わります。
この記事では、条件の意味、仮の数字を使った計算の考え方、市内での調べ方と確認先、売買の前に届出が必要になる場合までを順に整理します。
用途地域は13種類、建ぺい率と容積率もあわせて決まる
岡山市の公式サイトでは、用途地域制度は市街化区域に必ず適用される最も基本的な土地利用の規制と説明されています。種類は、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域の13種類です。国土交通省の解説では、たとえば第一種低層住居専用地域は低層住宅のための地域、第二種住居地域は店舗や事務所、ホテルなども建てられる地域とされています。
建物の大きさに関わるのが建ぺい率と容積率です。建築基準法では、建ぺい率は建築面積の敷地面積に対する割合、容積率は延べ面積の敷地面積に対する割合と定められ、それぞれ用途地域ごとに選べる数値の範囲があり、実際の数値は都市計画で地域ごとに定められます。たとえば住居系の第一種・第二種住居地域の建ぺい率は、法律上10分の5、10分の6、10分の8のいずれかから定められます。
岡山市は用途地域制限早見表を公開していますが、これは建築基準法の概要であり、すべての制限を載せたものではないと注意書きがあります。自分の土地の数値は、次の項の計算を試す前に、必ず都市計画情報で確かめてください。
仮の数字で見る「建てられる大きさ」の考え方
仮に、敷地200平方メートル、第一種住居地域で、都市計画で定められた建ぺい率が60%、容積率が200%、前面道路の幅が4メートルの土地があるとします。建築面積の上限は200×0.6で120平方メートルです。容積率200%なら延べ面積は400平方メートルまでに見えますが、建築基準法では前面道路の幅が12メートル未満の場合、道路幅のメートルの数値に住居系の地域では原則10分の4を掛けた数値も上限になります。この例では4×0.4で160%となり、指定の200%より小さいため、延べ面積の上限は200×1.6で320平方メートルと考えます。
もう一つ、仮に第一種低層住居専用地域で容積率100%、前面道路が6メートルの土地なら、6×0.4で240%となり、指定の100%のほうが小さいので100%が上限です。このように、同じ用途地域でも道路の幅によって建てられる量が変わります。
ここでの計算は考え方を示すための仮の例です。角地の緩和、特定行政庁が指定した区域での別の係数、防火地域での建ぺい率の緩和、高さ制限や日影規制などで結果は変わります。実際の建築可能な規模は、市の建築指導課や建築士に確認してください。アパート用地や事業用地として売る場合は、買い手がこの計算を必ず行うため、売主も考え方だけは知っておくと話がかみ合いやすくなります。また、建ぺい率や容積率に余裕がある土地かどうかは、古い建物が残っている土地を売る場合にも関係します。今の建物を基準に考えるのではなく、更地にしたときに何がどれだけ建つかを買い手は見ている、と考えておくと査定の説明を理解しやすくなります。
市街化調整区域の土地は買い手が限られやすい
岡山市の案内によると、区域区分(線引き)は、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分ける制度です。市街化区域は、すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域とされ、開発行為は開発許可制度で規制されています。市の都市計画区域は58,600ヘクタールで、そのうち市街化区域は10,416ヘクタール、市街化調整区域は48,184ヘクタールと案内されています(令和4年11月30日現在)。面積で見ると、都市計画区域の大半が市街化調整区域です。
開発指導課の案内では、市街化調整区域では農家住宅など特定のものを除くすべての開発行為に許可が必要で、開発許可を受けた区域以外の土地では建築許可を受けなければ建築できないとされています。そのため、誰でも自由に家を建てられるわけではなく、条件に当てはまる買い手や、資材置き場など建物を前提としない使い道を考える買い手に限られることがあります。
一方で、市は市街化調整区域の地区計画運用指針も公表しており、場所や土地の履歴によって扱いが異なります。また旧建部町・旧御津町の区域は都市計画区域外とされています。調整区域の土地を売る場合は、建築ができるかどうかが価格を大きく左右するため、売り出し前の確認が特に重要です。
| 項目 | 市街化区域 | 市街化調整区域 |
|---|---|---|
| 区域の考え方 | すでに市街地の区域と、おおむね10年以内に計画的に市街化を図る区域 | 市街化を抑制すべき区域 |
| 開発許可 | 1,000平方メートル以上の開発行為で必要 | 農家住宅等の特定のものを除くすべての開発行為で必要 |
| 建物の建築 | 用途地域などの制限の範囲で建てられる | 開発許可区域以外では建築許可が必要 |
| 主な相談先 | 都市計画課・建築指導課 | 開発指導課(窓口での面談のみ) |
岡山市で用途地域と区域区分を調べる方法
市内の土地であれば、次の順で確認すると効率的です。①岡山市のWeb都市計画情報システム:市街化区域、用途地域、都市計画道路などの都市計画情報をインターネットで確認できます。参考図をネットで印刷するには年間定額の印刷認証キーが必要で、令和8年4月から令和9年3月末までの利用期間で16,000円(利用開始月による割引あり)、申込みは都市計画課の窓口か郵送と案内されています。②国土交通省の不動産情報ライブラリ:地図上に用途地域、区域区分、防火・準防火地域、都市計画道路などを重ねて表示でき、近くの取引価格情報も一緒に見られます。
③都市計画課(土地利用係):区域区分や地区計画、用途地域の指定内容の確認先です。④開発指導課:市街化調整区域での建築や開発行為の相談先で、相談は電話やメールではなく本庁舎6階の窓口での面談のみ、敷地位置図・公図・登記事項証明書などを持参するよう案内されています。⑤建築指導課:建てられる建物の詳しい内容の確認先です。
システムで表示されるのは参考図という位置づけです。売買契約の資料に使う場合や、境界付近で用途地域が分かれていそうな場合は、担当課で最新の内容を確かめておくと安心です。調べた画面は、確認した日付と地番が分かる形で保存しておきましょう。都市計画は決定や変更が行われることがあり、市は都市計画の決定及び変更のお知らせも掲載しています。売り出しまで時間が空いた場合は、査定の前にもう一度確認しておくと確実です。
用途地域以外に確認したい条件(道路・接道・地区計画など)
土地の売りやすさは、用途地域だけで決まるわけではありません。特に影響が大きいのが道路との関係です。建築基準法では、建物の敷地は原則として道路に2メートル以上接していなければならないとされています。また、法律上の道路は原則として幅4メートル以上のものですが、幅4メートル未満でも特定行政庁が指定した道は道路とみなされ、その場合は道の中心線から2メートルの線が道路の境界とされます。
仮に、幅3メートルの指定された道に間口10メートルで面している土地なら、中心線から2メートルまで下がる必要があり、道に沿って奥行き0.5メートル、面積にしておよそ5平方メートルが建物の敷地として使えない計算になります。道の反対側が川やがけ地などの場合は扱いが異なるため、実際の後退距離は市の建築指導課で確認してください。
もう一つの例として、仮に奥まった位置にあり、道路まで細い通路で出る形の土地を考えます。通路部分の幅が2メートルに満たない場合、道路に2メートル以上接するという原則を満たさず、そのままでは建て替えが難しい土地と見られる可能性があります。こうした土地は、隣地の一部を取得する、隣地と一緒に売るといった方法も検討対象になるため、査定前に通路の幅を測っておく価値があります。
このほか、①都市計画道路の予定がかかっていないか②地区計画が定められていないか(市では21地区で決定されており、区域内で建築する場合は届出が必要)③防火・準防火地域かどうか、なども買い手が確認する項目です。これらは買主への重要事項説明でも「都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要」として説明される内容で、売主が先に把握しておくと、査定の段階で不利になりそうな点を担当者と共有できます。
売買契約の前に届出が必要になる場合(公拡法)
見落とされやすいのが、公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)による届出です。岡山市の案内では、都市計画施設の区域内の土地や、道路・都市公園・河川などの一定の予定地で200平方メートル以上の土地、市街化区域内の5,000平方メートル以上の土地を有償で譲り渡そうとする場合に、届出が必要とされています。
大切なのは時期です。届出は契約前に行う必要があり、契約後の届出は受理できないと明記されています。届出から3週間以内に、市から買取り協議を行うかどうかの通知があり、その間は有償・無償にかかわらず譲渡できない期間(最長で6週間)が生じます。
仮に、都市計画道路の予定地に一部がかかる300平方メートルの土地を売る場合、買い手が見つかってすぐに契約、という段取りにはできず、届出と通知を待つ期間をスケジュールに組み込む必要があります。該当するかどうかは、都市計画課の土地利用係で確認できます。広い土地や道路予定地に接する土地を売るときは、査定の段階で担当者に伝えておくと、契約日程の組み立てを誤りにくくなります。
売り出し前に売主がしておきたい手順
都市計画の確認は、次の順番で進めると無駄がありません。①権利証や固定資産税の納税通知書などで、地番と面積を確かめる②Web都市計画情報システムや不動産情報ライブラリで、区域区分・用途地域・建ぺい率・容積率・防火地域・都市計画道路を確認し、画面を保存する③前面道路の幅と、敷地が道路に接している長さを現地で大まかに測る④市街化調整区域の土地や、建築できるか判断がつかない土地は、開発指導課の窓口で相談する(敷地位置図・公図・登記事項証明書を用意)⑤道路予定地にかかる土地や広い土地は、公拡法の届出の要否を都市計画課に確認する⑥調べた資料をまとめて不動産会社の査定に臨む、という流れです。
①から③までは所有者自身で進められる作業です。④以降は窓口での確認になるため、売り出し時期から逆算して早めに動くと、契約直前に条件の違いが見つかるといった事態を避けやすくなります。時期の目安としては、①〜③は不動産会社に相談する前、④⑤は査定の結果を受けて売り方を決める段階、遅くとも買い手との条件交渉に入る前に終えておくのが望ましい流れです。特に公拡法の届出は契約前でなければ受理されないため、契約日を決める前に要否だけは確かめておきましょう。
なお、この記事は土地の都市計画に関する一般情報です。登記の内容や権利関係に不明な点がある場合は司法書士に、建築の可否の詳細は建築士や市の担当課に相談してください。
- 地番と面積を権利証や納税通知書で確認した
- 市街化区域か市街化調整区域かを確認した
- 用途地域と、建ぺい率・容積率の数値を確認した
- 前面道路の幅と、道路に接する長さを確認した
- 都市計画道路の予定や地区計画の有無を確認した
- 防火・準防火地域かどうかを確認した
- 公拡法の届出が必要な土地かを都市計画課に確認した
- 調整区域の場合は開発指導課で建築の可否を相談した
- 調べた画面や資料を保存し、査定時に渡せるようにした
トリプルギブへのご相談
株式会社トリプルギブは岡山市南区福吉町を拠点に、土地の分譲開発や売買・仲介を行っています。公式CASEには、南区妹尾や福富東、中区倉富の分譲地、南区福浜町の店舗用地、妹尾の物流企業用地などの実績を掲載しています。
土地のご相談では、用途地域や建ぺい率・容積率、道路の状況などの調査をもとに根拠のある査定をご提出し、売却の方針を明確にしたうえで仲介か買取かを確定します。市街化調整区域の土地など条件の確認が必要な場合も、対応できるかを物件ごとに判断します。調べた資料がそろっていなくても構いませんので、まずはご相談ください。地番が分かる書類や、お手元にある測量図・公図の写しなどがあれば、確認が早く進みます。
よくある質問
Q. 土地の一部だけ用途地域が違う場合はどうなりますか?
敷地が二つ以上の地域にまたがる場合、建築基準法では建ぺい率は各地域の数値に、それぞれの部分の面積割合を掛けて合計したものが上限になるとされています。用途の制限には別の定めがあるため、境界付近の土地は参考図だけで判断せず、都市計画課や建築指導課で確認してから査定の担当者に伝えると、買い手への説明の食い違いを防げます。
Q. 市街化調整区域の土地でも売ることはできますか?
売買そのものは可能です。ただし、許可なく建物を建てられない土地が多いため、買い手が限られたり、建物を前提としない使い道での検討になったりすることがあります。過去に建物があった土地かどうかなど、土地の履歴で扱いが変わる場合もあるため、開発指導課の窓口で建築の可否を相談し、その結果をもとに売り方を決めるのが現実的です。
Q. Web都市計画情報システムの画面を、そのまま買主への説明資料にできますか?
システムが示すのは参考図という位置づけです。売買の重要事項説明では宅地建物取引業者が法令上の制限を調べて説明するため、売主の資料はあくまで事前の把握用と考えてください。印刷には年間定額の印刷認証キーが必要と案内されているため、まずは画面の保存で十分です。最終的な内容は担当課で確認されます。
Q. 前面道路が私道の場合、何を確認すればよいですか?
私道でも、建築基準法上の道路として扱われるものと、そうでないものがあります。道路として扱われなければ、原則として建物を建てるための接道の条件を満たせず、買い手が大きく限られます。まずは建築指導課で道路の種類を確認し、通行や掘削の承諾など権利関係の整理が必要な場合は、司法書士など専門家への相談も検討してください。
この記事は一般情報です。法律・税金・相続・登記・住宅ローン等の個別案件は、税理士、司法書士、弁護士、金融機関などへ確認してください。
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